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(続)ペルシャ帝国の今~テヘランより

2013-02-04

(続)ペルシャ帝国の今~テヘランより

三多摩支部 国際部
杉浦 順

10月に前篇をお伝えしましたが、その後一時帰国を経てさらに約40日間イランに滞在してまいりました。
今回の滞在中にもイスラエル軍のガザ地区攻撃によりハマスの幹部が殺害されて、これに対してハマスを支援しているイラン政府が非難する声明を出すなどの動きがありました。日本ではこれを受けてイスラエルのイラン攻撃が近いのではないかという見方も出ていたとのことですが、テヘラン市内はいつも通りの平穏な市民生活が続いておりました。

前回の報告で米欧の経済制裁にも拘らずテヘランはビルの建築ラッシュで、市場には人も物も溢れていること、商店街も日本のようなシャッター商店街は見うけられず有名レストランは列ができるほどの賑わいを見せていることをご報告しました。今回の滞在中にその理由を私なりに少し調べて考えてみました。

一つにはもちろん石油が豊富に産出することが挙げられます。最近になってカスピ海周辺で天然ガスも見つかり、埋蔵量は世界第2位ではないかという話もあります。したがって日本とは違ってエネルギー資源を輸入に頼らず自給できることが挙げられます。ところが意外にもガソリンの値段は約200円/リッターと日本より高いくらいです。これは国内に精製設備が少なく原油を輸出して海外で精製したガソリンを輸入しているからだそうです。イランの工場労働者の初任給が1~2万円であることから考えると非常に高価ですが、テヘランではバス網が発達しておりどこまで乗っても5円程度、地下鉄も10円程度と格安に設定されているので庶民はさほど困らないのではないでしょうか。

二つ目の理由は食糧自給率が高いことが考えられます。日本の食料自給率は約39%(農水省2005年)と言われておりますが、イランの自給率は統計数字は分かりませんが限りなく100%に近いのではないかと推測できます。農産物ではピスタチオの生産量が世界一であることはよく知られておりますが、ナンの原料である小麦の生産量はアルゼンチンより多く世界12位(FAO)、ケバブーの材料であるヒツジの飼育頭数は世界4位、付け合せのトマトと玉ねぎの生産量はそれぞれ世界4位、5位です。

みなさん砂漠のどこで生産しているかと驚かれると思いますが、果物は種類が豊富で生産量も多いのです。リンゴの生産量は世界8位、ぶどう10位、オレンジ12位という具合で、テヘラン市内の果物店の店先にはたくさんの果物が山積みで売られております。大きくてみずみずしいリンゴが一個10円程度で買えますので食生活はかなり豊かです。
唯一輸入量が多いと思われるのが紅茶です。この国はお茶の文化で自国での茶葉生産量も世界7位ですが、高級紅茶はイギリスやインドからの輸入品の人気が高く、スーパーでは大量の輸入紅茶を買っている主婦の姿が見うけられますが、そもそも嗜好品ですから生活には支障がないようです。

以上のようにエネルギーと食料の自給率が高く、衣料品もペルシャ絨毯で有名なように絹や羊毛を使った繊維産業が盛んですし、最近は中国から安い繊維製品が輸入されておりますので日常生活上は大きな問題にならないようです。

とは言うものの急激なリアル安に乗じてすべての物価は高騰しており、庶民は生活防衛のために仕事が終わった後にタクシー運転手(白タク)などのアルバイトをして繋いでいるようです。テヘランでタクシーに乗ると「この国の指導者は経済がわからないから困る。核開発など早く止めて経済制裁が終わって欲しい」という話を聞かされます。
おそらく経済制裁が終わればこの国は豊富な天然資源と食料を持っておりますし、人口も8千万人程度でありますからとても裕福な国となるポテンシャルを持っていると見えます。彼らはとても親日的ですので日本にとってもエネルギーと食料の安全保障上大切なパートナーとなりえると感じました。
最後に現地の人に、「日本は資源が何もないので毎日あくせく働かなければならないが、イランはたくさんの資源を持っていてうらやましいです。」と申し上げたところ、「それがイラン人がまじめに働かない原因かもしれない。」という答えが返ってきました。
今回のイラン滞在はいろいろな意味で「豊かな生活」について考えさせられた旅でした。皆様はどう思われましたか。

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