日本で唯一の経営コンサルタントの国家資格を持つ中小企業診断士の集団です

タイ国の様子

2014-02-22

タイ国の様子

三多摩支部国際部 永吉 和雄

<政治危機>

 昨年11月以来の政治危機が続いており、今年1月には非常事態宣言が出されたタイ国ですが、その中で、3月17日(月)に2013年10月~12月(4Q)のGDPの数値が発表されました。4QのGDP実質成長率は季節調整済みで前期比0.6%増で、年率換算2.4%増加程度とみられます。2013年通年の実績は2.9%と発表されました。昨年11月時点の予測(3%増)を下回り、洪水被害からV字回復した12年(6.5%増)から大きく低下しました。しかしながら、政治の混乱を考えれば、経済はしっかりと成長していると言えるのではないでしょうか。

ところで、GDPの集計・発表を行うタイ経済社会開発庁は反政府派に占拠されています。それなのに、しっかりと機能しており数字を発表しているのも不思議に思われます。建物は占拠しても、政府の機能に壊滅的なダメージを与えることはないように配慮されているようで、政府職員は自宅等からサーバーにアクセスして業務を行えるようです。政府側、反政府側とも、経済活動に壊滅的なダメージは与えない、大きな武力衝突は慎重に回避する、との点では合意しているようにも思えます。

昨年12月6日から12月16日まで10日間、バンコクに行ってまいりました。学生の交流のツアーで2回、香港駐在中には出張で頻繁に訪問していたバンコクですが、今回は12年ぶりの訪問となりました。出張の直前には、政府機関が占拠され始めるなど反政府派の活動が、急速に勢いを増してきていました。日本からの観光客はやはり減っていたようで、往復の便とも空席が多くありました。

滞在中もデモの様子が大きく報道されていましたが、政府機関のある一部地域以外は、昔と同じように平和でのんびりとした様子でした。一般のビジネス、観光には全く影響は出ていないように思われました。また、年末から年始にかけては、タイでは気候も良く農業も忙しくないので、人を多く動員できる時期です。大きなデモ等はこの時期に起こることが多いとようです。今回のデモ隊の中にも、弁当と日当を支給されてお祭り気分で参加している人も多いとタイの方にお聞きしました。

政治的には出口の見えない状況になってしまっていますが、ASEANの中心、ハブとしてますます発展が期待されているタイです。そのイメージが損なわれることのないよう、早い時期に解決されるよう願っています。

 

<現地進出企業>

今回は、工業団地に進出している日系企業数社、ジェトロのバンコク事務所、現地に事務所を持つ日系コンサルタント、タイの友人等に時間をいただいて話を伺いました。また、自由な時間には商業施設をなるべく多く見るようにいたしました。

ご案内のようにタイは自動車産業を中心とした集積が発達し、成熟した状況になっています。サプライヤーも1次から2次、3次までしっかりと現地で活動しており、日本の中小企業が今から進出してもチャンスはあまりないのではないか、とも思われます。確かに、単純な加工や切断等の技術では、現地企業との競争が厳しいかと思います。

しかしながら、付加価値の高い部品については、日本からの輸入で対応しているところも多いようです。また、現地では協力会社の開拓にはどこも熱心で、部品メーカーに対してはオープンで、幅広く見積もりをとっているようです。特に、メッキや熱処理等、様々なノウハウが組み込まれているような工程については、発注先の要求水準を満たせるとことは極めて少なく、高度な水準を持つ企業が必要とされています。自社技術の独自性、強みが明確であれば今からの進出でも十分にチャンスはあるかと思います。

今回訪問した工業団地は、バンコクから150キロ程度の範囲で、バンコクの南南東方面のアマタナコン、ピントン、東北東方面の304工業団地の3か所でした。バンコク南南東方面の工業団地は急速に発達してきているため、居住施設、宿泊施設等の建設が追いついていないようです。ピントン工業団地近くのシーラチャでは、長期出張者が宿泊するホテルが不足しており、150キロ以上離れたバンコクから通わざるを得ないといった状況もあるようです。また、シーラチャの日本人人口は1万人程度になっているようですが、家族の娯楽施設等が不足しているようです。さらに、今後ASEAN統合が進むと国境の近くの産業集積が伸びてくる可能性が高いと言われています。今回は行くことはできませんでしたが、メソット(ミャンマーとの国境沿い)、サバナキット(ラオス)、ポイペット、ココン(カンボジア)などが注目されています。今の段階では、これらの町の日本人にとっての生活環境は厳しいと思われます。今後、サービス業にとってのビジネス機会は大きいと思われます。

 

<バンコク市内>

昔のバンコクは交通渋滞が大変だったと記憶しています。わずか数キロの歩いて行ける距離でも車で1時間ほどかかってしまうこと頻繁にありました。今では大きく改善されています。また、地下鉄とスカイトレインは大変便利です。バンコク市内の移動はとても快適になっています。今回は、地下鉄とスカイトレインをフルに活用して動いたので、バンコク市内の地図は頭によく入りました。

貧困層は大幅に減っています。昔はバンコク市内でも信号待ちをする車に子供が近づいてきて、窓を磨く、花を売る、などしてお金を貰おうとしている姿をよく見かけました。今回は、たまたまかもわかりませんが、一度も見かけませんでした。タイでも所得格差は大きな問題で政治危機の原因にもつながっているのだと思いますが、絶対的貧困に苦しむ人はほとんどいなくなっているようです。

サイアム・パラゴン、セントラル・ワールドなど、サイアム・スクエアの商業施設は、規模、空間の使いかた等に圧倒されます。また、ローカル色豊かなマーケットと最新の商業施設が近くで併存している様子は、かつての香港のような印象を受けました。20年以上前になりますが、家族旅行でバンコクのサイアム・インターコンチネンタルホテルに宿泊しました。ホテルの庭で子供たちを遊ばせていると、放し飼いのアヒルの群れに追いかけられた覚えがあります。今、そこがどうなっているのか、残念ながらわかりませんでした。当時のサイアム・スクエアでは、世界のトップブランドより、シルク、コットン、宝石等の販売が中心だったのではないか記憶しています。

 

新興国ではみなそうだと思いますが、何となく、わくわくする感覚がタイにもあります。何かを始めればうまくいきそうな、何かができそうな雰囲気が感じられます。日本とは違う速さで変化しているからだと思います。今後とも、日本企業がビジネスを展開していく有力な国であるととらえてフォローしていきたいと考えています。

 

会員紹介

三多摩支部事務所

中小企業の経営者様や起業準備中の方へ、BusiNestで無料の窓口相談を実施中です。ご予約はこちらから。
(一社)東京都中小企業診断士協会
三多摩支部
〒207-8515
東京都東大和市桜が丘2-137-5
中小企業大学校東京校東大和寮3階
BusiNest432号室

Menu

経営者の方へ

画像
会員が執筆したコラム・論文を掲載しています
画像
会員の出版物を掲載しています
画像
経営に役立つリンクを掲載しています

ピックアップ

研究会紹介