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水と緑の国 ラオス

2015-03-30

日本ではまだラオスに関する関心は低いのではないでしょうか。ラオスを一言であらわすと、「水と緑に恵まれた微笑みの民の国」でしょうか。

前回の「ラオス・カンボジア視察報告-3」にもラオスについて一部触れられておりますが、今回はラオスに絞ってその知られざる全貌の一端をご紹介したいと思います。

表 1 日本と比較したラオスの一般事情

表 1 日本と比較したラオスの一般事情
出典:外務省HP、財務省、ラオス統計局データから

まずラオスの概要を表1に示します。面積は日本の本州とほぼ同じ大きさで ASEANで唯一海に面していない国です。インドシナ半島の中央部に位置しており、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミヤンマーの4か国と国境を接しており、国土の80%が山岳地帯です。この山岳地帯に南からの湿った空気がぶつかって大量の雨となり、国土の70%が森林という水と緑あふれる国土です。

人口は650万人余りと千葉県の人口とほぼ同じくらいですが、ここ5年間の人口増加率は10%以上と急激に増えており、14歳以下の子供が人口の39%と日本の比率の3倍もあり、将来が楽しみな国です。

2012年の名目GDP91億ドルですが、成長率は8%を超えており、5年前と比べると3倍に増えています。1人当たりのGDP1,349ドルと後発開発途上国(Least developed countryLDC)の分類となりますが、ラオス政府は2020年までにLDC脱出を目標としています。しかしながら人口の71%が農業に関わっており、まだまだ自給自足に近い産業構造になっています。別の言い方をすれば、将来農業従事者を工業従事者に転換する余地は大きいとも言えます。現実にラオス統計局の2010年と2012年の産業別GDP比率を追ってみると、農業の比率が28%から26%に減少して、工業が26%から31%に増加しており、工業化に力を入れていることが伺われます。

貿易額は、輸出23億ドル、輸入25億ドルと2億ドルの輸入超過となっています。主な輸出品は銅、金などの鉱物資源、木材やゴムの樹液などの農産林産品、縫製品に加えて、豊富な水を用いて発電した電力輸出が特徴となっています。輸入は投資関連財、消費財が主なものです。

じつはラオスへの評価として、「ラオスは宝物の上に座っている。」と言われるほど鉱物資源や天然資源がまだ開発されずに豊富に眠っている国なのです。また、ASEANの中では珍しく水力発電による電力が豊富であり、「東南アジアのバッテリー」とも呼ばれており、工業化が進んだ隣国タイの電力不足を補うために電力を輸出しているほどです。

このような状況もあり、WTOの2010年のデータによれば、輸出額の44%が隣国タイ、33%が中国となっており、輸入に関してはタイからの輸入額が全体の2/3と圧倒的に多くなっており、中国が16%と続きます。

言葉がタイ語と近いことから、経済的な繋がりはタイとの関係が緊密であり、同じ社会主義国として政治的には中国やベトナムとの関係が強い国です。

まだ医療技術レベルが低いラオスでは、裕福な一般人は病気になるとタイの病院へ、政治家や高級官僚はベトナムの病院へ行って治療を受けるそうで、決して自国の病院へは掛からないという話も聞きました。

2 ラオスへの国別直接投資額

  直接投資額(k$)
ベトナム

2,772,658

中国

2,715,574

タイ

2,687,065

韓国

512,442

フランス

459,968

日本

437,334

インド

354,337

オーストラリア

334,709

ノルウエー

230,165

マレーシア

156,418

海外からの直接投資額(表2)で見ると、やはりベトナム、中国、タイの三国が圧倒的に多いことがわかります。なかでも中国からの投資が近年大きく増えており、ビエンチャンの街中では中国語の看板があふれかえっております。公式な数字に表れないですが、中国雲南省から多数の中国人が流れてきており、彼らがラオス人の女性と結婚して住み着き商売を始めて、うまく行き始めると中国の親戚などを呼び寄せて一緒に住み始めることで勢力を伸ばしているという話も聞きました。その影響でラオス人の商売が圧迫されていることもあり、一般のラオス人はどうも中国人に余り良いイメージを持っていないとも聞きました。 

日本からの直接投資や輸出入額はまだそれほど大きくありませんが、中国やタイの人件費が高騰しているためにラオスに工場を移している日本企業も増えてきており、日本企業向けに作られた工業団地では工場進出に必要な全ての許認可や優遇措置の申請をワンストップで提供しているところもあり、最短で申請から一週間ですべての許認可が下ろされた例もあるそうです。

ラオス人は温厚な性格でまじめに働き、手先が器用で眼が良い人が多いと言うことで、日本の縫製業や医療機器の製造会社が進出して成功を収めている例を視察して参りました。中国やタイの工場で機械化できる工程を加工して、人手の掛かる工程のみをラオスに持ってきて加工・検査して、また元の国へ持ち帰って最終製品に仕上げるというような国境を越えた分業が進みつつあるという話も聞きました。特に今年の年末にはASEAN Economic Community (AEC)がスタートしますので、同じASEANで陸続きであるタイやベトナムとの間でこのような分業体制が進むことを期待しております。 

最後にラオス人の日本に対する感情ですが、一言で言って大変な親日国です。実は日本の青年海外協力隊(JOCV)が初派遣されたのは、1965年でラオスだったのです。現在でもビエンチャン大学の中にラオス日本センターが運営されており、日本からラオスに対する人的な援助は継続しており、ビエンチャンからタイに渡るメコン川の橋や道路は日本からの援助で作られており、その橋や道路にはこの構造物が日本の援助でできたことを知らせる碑が作られているのです。

また、日本製品に対する信頼はとても強く、どこまで本当の話かわかりませんが、現地で中国製オートバイは安いが直ぐ壊れるのでいつも修理に出していて稼働率が悪い、韓国製は中国製の2倍の値段だが品質はほどほどなので人気がある、日本製は韓国製の2倍の値段で若者のあこがれの的とのこと。そこでラオスの裕福な親は子供に日本製のオートバイを買い与えるのがステータスシンボルになっているそうです。ところが、困ったことに日本製は鍵と鎖を掛けて路上に駐車していてもあっという間に盗まれるそうで、親の乗っている韓国製は鍵を掛けておけば路上駐車でも大丈夫で、中国製は鍵を掛けずに路上駐車していても誰も盗まないという笑い話があるほどでした。 

文責:杉浦 順

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