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香港最新情報2015

2015-08-02

香港最新情報 2015

徳久 日出一

 ■香港人と中国人

 1997年に香港が英国から中国に返還され、今年で18年目を迎えた。香港は中国の特別行政区となり、法的にはすでに中国の一部であるが、『一国二制度』により外交と防衛以外は自主性が認められている。昨年来、行政長官の選挙に絡む民主化デモの騒ぎがニュースになっているが、あれは学生を中心とした一部の香港住民による中国支配へのささやかな抵抗である。

 150年におよぶ英国統治の時代を経て、香港は自由経済を謳歌しアジアを代表する経済成長を遂げ、一人当たりGDPではシンガポール同様すでに日本を追い越し、実質的には先進国の仲間入りをしている。

 現在、香港の主要な産業は、観光業、金融業、貿易業である。人口が700万人強の狭い地域に、年間渡航者は6,000万人を超えている。そのうち中国本土からの来訪者が8割弱である。中国からの来訪者は観光ばかりではなく、ビジネスや投資目的の訪問もあるため香港経済には大きく貢献している。その一方で、マナーの悪い中国人旅行者の行動や、担ぎ屋による商品買占め等への批判も多くなり、香港人と中国人の違いが際立っている。

九龍・尖沙咀のプロムナードから香港島を望む

九龍・尖沙咀のプロムナードから香港島を望む

 香港人と中国人の一番大きな違いは生まれ育った環境である。自由でほとんど規制のない香港では、商店には世界中の商品や情報があふれている。英国式の教育環境で学んだ香港人は、外国人との交流の機会も多く、子供のころから海外旅行にも慣れている。資本主義自由経済の中で育ち、アジアの経済発展を身近で経験し、国際的な取引やビジネスマナーにも長けている。

 所得税が15%で相続税も無いため貧富の格差は広がっているが、ビジネスチャンスも多く、勤勉で意欲のある人材も多い。30年以上前から日本製品に対する人気は高く、カメラ、家電、自動車をはじめ、現在では日本食に加えて、アニメ、漫画、ファッションの人気も高く、香港人はびっくりするほど親日的である。日本語を勉強している学生や日本への留学生も年々増加している。

 97年の返還後、最近では普通話(中国の標準語)もかなり通じるようにはなってきたが、通常は広東語で会話している。公共の場や街なかの商店、金融機関等ではほぼ英語が通じる。香港人に「あなたは中国人ですか」と聞けば、ほとんどの人は、「自分は香港人です」と答え、中国人との差別を意識している。 

■ビジネスの大きな変化

 最近の変化で一番大きいのは物価が高騰していることである。経済発展にともなう人件費の上昇もあるが、それ以上に家賃が高くなった。もともと面積が小さく建設可能な土地が限られている香港は、狭い地域に高層ビルが林立し、それが特徴にもなっているが、ここ数年の不動産価格の高騰は異常である。その大きな原因は中国本土からの投資であり、それも中国人への批判につながっている。

 

ビクトリア湾から望む香港島のビル群

ビクトリア湾から望む香港島のビル群

 賃借物件の契約は2年が一般的であり、契約の更新時に3040%アップは当たり前、場所によっては50%以上になる事さえある。自社物件でない限り、2年ごとに家賃の安いところに移転する商店や飲食店も多く、内装にもあまりお金は掛けられない。住居の場合も同様で、持ち家でなければ、2年ごとに引っ越しをするケースが増えている。日本人が多く住んでいる生活環境の良い地域だと、1ヵ月の家賃が2LDK7080万円もしており、駐在員の多い進出企業には頭の痛い話である。

 そのような事情で、立地に恵まれた商業物件やマンションは高根の花となり、商業環境は大きく変化している。香港を代表する繁華街、香港島の銅羅湾の家賃は、今やニューヨークを抜いて世界一の高さである。特に家賃の高い繁華街では、単価の低い商品を販売する店舗が消え、貴金属店や高級ブランドショップばかりになってしまった。先日、近くのホテルに宿泊したときも、以前はどこにでもあったお粥や麺を食べさせる店を探すのに苦労した。しかも値段は1年前の倍近くになっていた。

 三越、大丸、松坂屋、伊勢丹、東急等、90年代までは11社を数えた日本の大手百貨店や量販店がほとんど撤退したのも、家賃の高騰が主な理由である。現在残っているのはイオンとユニーの2社のみである。それに代わって日本から進出してきたのは、居酒屋、ラーメン屋、回転寿司、ファストフード店である。彼らは商業ビルの高層階や地階など、少しでも安くて良い立地を探し、営業時間を長くしたり、小さな店舗で回転を速めたり、効率的な運営を模索している。この数年、日本食は大ブームとなっているが、あの狭い香港の中に、現地資本も含めて日本食レストランが1,400店もあり、壮絶な激戦地帯である。

以上

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