日本で唯一の経営コンサルタントの国家資格を持つ中小企業診断士の集団です

ASEANに隣接するバングラデシュ

2016-05-26

ASEANに隣接するバングラデシュ

東京都中小企業診断士協会
三多摩支部国際部
永吉和雄

2015年2月にスタートしたバングラデシュ向けJICA案件に参加する機会を得まして、定期的にバングラデシュへの長期出張をしています。バングラデシュは始めてでしたが、今では私の大変に好きな国となっています。現地で過ごす日が経つにつれて、町の見えかたが馴染んでくるので不思議な気がいたします。今回は、バングラデシュについて少しご紹介させていただきます。

バングラデシュはアセアンに隣接する人口大国で、今後の成長ポテンシャルが大きく、日系企業にも注目され始めています。日本の約4割の面積で、人口約1億6000万人のバングラデシュは、現在でも年率6-7%の成長を続けています。1人当たりGDPは約1200米ドルで、2015年には世銀の分類で最貧国から下位中所得国に引き上げられました。政府は、2021年(独立50周年)に中所得国向入りを目指し経済政策(ビジョン2021)を進めています。

バングラデシュの90%の人々はイスラム教徒です。滞在しているホテルのすぐ近くにモスクがあり、毎日日の出の時間に祈りの歌が流され目を覚まされます。日本では、昔はお寺の鐘が夜明けに鳴っていましたが、東京の住宅地ではほとんど聞かなくなったように思います。回教国であるため風習は日本と異なる面が多いのですが、大変に親日的な国で、日本人にとっては、インド・パキスタンと比べて接しやすいのではないかと思います。

一般的な治安は良好ですが、ハルタルと言われる政治デモが頻繁に行われます。ハルタルは、行われる場所、時間があらかじめ宣言されて実行される政治運動ですが、過去先鋭化し暴動につながったこともあります。現在の政権に反対する野党が主導で行われるものがほとんどですが、その期間行動が制限されますので、大きな経済的損失につながっています。

また、昨年、日本人を含む外国人殺害事件等が起こり、治安に対する警戒が一気に高まりました。政府治安当局、各国大使館は神経質になっています。その後事件が続くことはなく落ち着いているようですが、外国資本の導入を目指す政府にとって重要な問題です。

外国資本にとって、安く豊富な労働力は魅力的であり、縫製業等の労働集約型産業の進出多くみられます。ダッカから地方に延びる幹線道路沿いには、どの方向にも縫製工場の集積(写真)が見られます。今まで、外国資本誘致のための特区は「輸出加工特区」として開発されてきました。その中で、最近は、将来の大きな国内消費に目を向けた進出も行われるようになっています。例えば、味の素は、小分けにした調味料を現地の伝統的個店向けに訪問販売を行い浸透を図っています。政府も、国内向けの産業も含めた「経済特区」の開発に、日本、中国、インド等の支援を受けて取り組んでいます。

小売は、まだ殆どが伝統的な商店(バザールと呼ばれる公設市場や家族経営の個店)で行われていますが、ここ数年でスーパーマーケットも急速に増えてきています。また、近代的な商業施設もできつつあります。

高成長を続けるバングラデシュですが、解決すべき課題も多くあります。ダッカ市内を中心に交通渋滞は深刻です。滞在しているホテルから数キロの事務所まで、車で1時間弱かかります。路上には、リキシャ(写真:自転車で引っ張る人力車)や、車の隙間を横断する歩行者が多くいます。治水が悪いため、雨量が多いと道路が水没し、交通がマヒします。また、危険な労働環境はいろいろな分野で指摘されています。1000人以上の犠牲者を出し2013年の縫製工場崩落事故以降、労働者の安全・権利を守る動きがある一方で、高架の建設等、危険を伴う現場作業を素手で行っている様子が見られます。

ダッカ強い成長エネルギーが感じられる一方で、バランスの取れた成長を目指すのは非常に難しい現実もあります(写真:ダッカ中心部)。5年後、10年後のバングラデシュがどのようになるのか、楽しみであり、少し不安でもあります。
バングラデシュについては、引き続きご報告したいと思っています。

2016年5月

 

 

会員紹介

三多摩支部事務所

中小企業の経営者様や起業準備中の方へ、BusiNestで無料の窓口相談を実施中です。ご予約はこちらから。
(一社)東京都中小企業診断士協会
三多摩支部
〒207-8515
東京都東大和市桜が丘2-137-5
中小企業大学校東京校東大和寮3階
BusiNest432号室

Menu

経営者の方へ

画像
会員が執筆したコラム・論文を掲載しています
画像
会員の出版物を掲載しています
画像
経営に役立つリンクを掲載しています

ピックアップ

研究会紹介