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中国について考える

2016-09-30

三多摩支部国際部
永吉 和雄

<わかりにくい中国>

海外展開についての話になると「中国についてはどう考えるか」について議論になることがよくあります。よくご存知の通り、中国は日本企業にとって最大の進出先であり、また最も潜在力のある市場です。長く中国に拠点を構えて、地元への貢献が大きく高い評価を受けている日本企業も多くあります。一方、繰り返される反日感情の高まり、日本企業を標的にした騒ぎ、「中国の夢」の実現を掲げた対外進出、内部の抗争や根本的矛盾が指摘される共産党政権等不確実な要素が多いことも事実です。日本人の中国に対する感情も悪化し、中国を嫌いだとする日本人が90%になったとの調査もあるようです。中国で何が起こっているのか、どのような方向に向かうのか、について客観的な情報を集めて判断することは大変難しいように感じます。

 

<アメリカの中国に対する見方>

外交官として中国とアメリカに長く勤務された方の話を聞く機会がありました。この方は、アメリカが中国を見る際には四つの目があると考えられています。第1は宣教師の目、これは米国の制度、文化のよいところを伝えようとするもので、最も伝統的なものと思われます。第2は軍人の目、大中華帝国の復活を目指す中国共産党の野望、ゲームチャンジャーとしての中国の台頭を恐れるものです。安全保障上の議論の中心となります。第3は商人の目、最大の市場を獲得しようとするもので、中国当局に深く食い込んでいるゴールドマンサックス等が典型的かと思われます。第4がリバダリアン、これは対外的には不干渉の政策で、極端なケースではアメリカはアジアに関与しない、との主張になるようです。アメリカが中国をみる態度は、この4つの組み合わせで、どの比重が高くなるかが時として変化する、との話を伺いました。そして、アメリカの研究者は、時として同じ方向の論調になりがちであるとのことです。これは、研究者間のコミュニケーションが頻繁で、重要なイベントの解釈が同方向に流れることが多いからだと考えられます。

わが国が単独で中国の将来の方向に影響を及ぼすことは限界があるかと思います。しかしながら、アメリカの中国に対する論調をしっかりとおさえ、協調して中国に影響を与えていこうとする態度は有効であると思われます。

 

<中国共産党の正統性と習近平>

中国共産党の正当性は、対日戦争に勝利したこと、広大な国土を統一し維持していること、経済成長をしていること、であると言われてきました。ただ、実際には、イデオロギーやナショナリズムを超えて、国民生活の向上を実現してきたパフォーマンスが今日の中国共産党の正当性の源泉になっていると考えられます。中国が天安門事件以降、政治改革はタブー視し、経済改革を押し進めて成長を実現してきたことは周知の通りです。

習近平がリーダーとして登場してきた時期は、今まで路線で経済成長を維持してしていくことが難しくなったタイミングであったと考えられます。経済の効率を上げるためには、もはや政治的な改革に手を付けざるを得ない状況であり、現在進められている腐敗撲滅に向けた活動もその表れであると考えられます。しかし、効率を上げるためには、例えばゾンビ企業となった国営企業の解体等にも取り組む必要がありますが、影響力が大きすぎて、事実上不可能なのではないかとも思われます。

現在、中国は南シナ海を始め、海洋進出を進めています。南沙諸島では、無人島にコンクリートで建造物を建て実効支配をしていることをアピールしようとしていますが、これには大変な費用がかかっています。海水を使った工事でもあり、大変に脆くメンテナンスにも莫大な費用がかかるようです。国際的な批判も強く、経済的には全くペイしない行動であるはずです。また、中国は、軍事費を大きく増やしているものの、現時点での米国との軍事力の差はまだ大きく、実際の武力衝突は起こしたくないのが本音だと思われます。やはり、現時点では習近平のリーダーシップが弱く、国内向けのメッセージとして、外に向かう強い中国を演出せざるを得ないのではないかと思われます。

 

<中国への影響力>

中国が将来どのようになっていくか、やはり予想することは難しいと言わざるを得ません。しかし、中国が今後進んでいく方向について、アメリカにおける中国の見方をしっかりとフォローし、実質的に協調することにより、我が国にとって有利な影響を及ぼしていくことができるのではないかと思います。アメリカが中国を軍人の目で見る時の「中国のアジアにおける覇権国家としての台頭を阻止する」という立場は、まさに日本の国益そのものです。また、商人の目で中国をとらえ、「中国の市場の健全な発展」を支持する立場は、日本企業にとって最も望まれるものです。考えてみれば、世界の1位、2位の大国に挟まれた日本は他のどの国よりも立地に恵まれているとも言えます。アメリカとの安全保障上の協調を堅持し、一方でしたたかに、中国の将来を日本にとってよりよい方向に形づくっていければと願います。

以 上

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