日本で唯一の経営コンサルタントの国家資格を持つ中小企業診断士の集団です

ナイジェリアでの5S・カイゼン活動

2016-10-21

三多摩支部国際部
野村昌明

【5S・カイゼン活動の目的】

経済産業省の委託を受け、この9月ナイジェリアでの5S・カイゼン活動に参加した。
目的は、次の通りである。

①ナイジェリア及び近隣国(ガーナ、ブルキナファソ)各国の、企業の生産性向上を支援する政府機関職員の育成
②5S・カイゼン活動を実施するモデル企業における活動概要説明、5S・カイゼン活動の開始(モデル企業・エリアの診断、現場調査、扱うべきカイゼン課題の選定)

ちなみにこの5S・カイゼン活動は、2017年1月末頃まで続く。

【日本とナイジェリアの違い】

ナイジェリアはアフリカで最も人口の多い国であり、資源の豊富な肥沃な土地がある。1週間程の短期滞在ではあるが初めてのアフリカ訪問ということもあり、日本との違いは想像以上で驚愕に近い印象を持った。日本の人口減少に対し、ナイジェリアは人口爆発。交通渋滞は筆舌に尽くしがたい。
人口増加率ランキングでは210か国中、日本の194位(-0.175%)に対しナイジェリアは21位(2.793%)。一人当たりGDPのラインキングでは188か国中、日本の26位(32,486$)に対しナイジェリアは129位(2,743$)。平均寿命ランキングでは183か国中、日本は1位(83.7歳)、ナイジェリアは177位(54.5歳)。

【ナイジェリアの企業活動の側面】

経済発展の軸足はアジアからアフリカに移行しつつある。しかし、最後のフロンテイアであるアフリカは既に中国に席巻され、日本の入り込む余地はあるのだろうか。
モデル企業は、ナイジェリアの国産製造業(樹脂成型加工、キャリーバッグ等の組立)としての意識は高いが、射出成型機、金型及び重要な樹脂原材料、部品等は中国に大きく依存している。
同社がモデル企業に選定された理由の一つはCEOの5S・カイゼン活動に対する積極的な受け入れ姿勢だが、中国への過度の依存がもたらす企業運営の限界も認識している様な気がする。
当企業においては新製品とされるジッパータイプのキャリーバッグの組立現場では縫製作業も行っており想像以上に手作業技術の高さを感じることが出来た。

 【5S・カイゼンへの取り組み】

アフリカの復興に日本はどうかかわれば良いのか。西欧の植民地支配、現地の部族間闘争等複雑に絡み合った負の連鎖を、欧米、日本や中国などからの従来型の経済援助だけでは防ぎようはない。特に中国式の経済援助に対する懸念の声は、現地の人からも直接聞くことが出来た。
日本式ビジネスの手法が東南アジアで広まったように、アフリカでも広がれば良い。そのために日本人は、最後のフロンテイアと称するアフリカで一肌脱ぐ必要があるのではないか。それは、アフリカの将来にとっても日本自身の将来にとっても大切なことと考える。
「5S・カイゼン」認定制度の設定、「5S・カイゼン」キットも必要だ。また、アフリカンテーストの5Sが必要ならそれでも良いと思う。想像以上にプライドの高い民族の特性からお仕着せのモノではなく自分たちに合ったモノが良いのではないか。要は、早く普及させることだろう。
そのためには、あらゆる取り組みが必要だ。アセアン諸国の人がアフリカで5S・カイゼン活動を普及させることや、将来的には育成したコンサルタントの中で優秀な人材を5S・カイゼン認定指導者に育て上げるやり方も必要ではないか。

【まとめ】

生まれて初めて、しかもほんの1週間の滞在で感じたことの羅列になってしまった。独断と偏見に満ち入ている危惧を持つが、この稚拙な文章を目にし、西アフリカ、ナイジェリアとの企業活動にとって参考になれば幸甚である。
大型のショッピングモールで買い物をした際、中国人が目立った。日本人は皆無に近い。確かに、現地では中国からの支援は、インフラを整備していく上で高く評価されている。ただ、同時に、インフラ整備だけでは、自律的な経済成長には限界があることも認識されているように感じた。だが、「なぜ日本人はこちらに来ないのか(もっと身近な存在であってほしいという願いだろう)。」との牽制も忘れない。
アフリカへの支援という観点で、日本は確かに物量面(ハード領域)では中国に遅れをとっている。しかしながら、いろいろな知恵とアイディアを捻出することで、日本人特有の強みを活かし、この国に大きな貢献ができるだろう。モデル企業の作業水準の高さも想像以上で、日本人の指導如何では大きく伸びるポテンシャルを感じさせる。
5S・カイゼン活動を皮切りに日本的ものづくりの考え方を現地に普及させることで、今まで以上に日本経済とのリンケージを強める可能性を期待する。

(出典)
・人口増加率ランキング:世界銀行(IBRD)2013年
・一人当たりGDPランキング:IMF-World Economic Outlook Databases(2016年4月版)
・平均寿命ランキング:WHO, World Health Statistics (2015年 男女歳)

会員紹介

三多摩支部事務所

中小企業の経営者様や起業準備中の方へ、BusiNestで無料の窓口相談を実施中です。ご予約はこちらから。
(一社)東京都中小企業診断士協会
三多摩支部
〒207-8515
東京都東大和市桜が丘2-137-5
中小企業大学校東京校東大和寮3階
BusiNest432号室

Menu

経営者の方へ

画像
会員が執筆したコラム・論文を掲載しています
画像
会員の出版物を掲載しています
画像
経営に役立つリンクを掲載しています

ピックアップ

研究会紹介