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マレーシア視察に参加して

2019-06-30

三多摩支部 国際部
永吉 和雄

今年5月28日から6月2日、東京協会城南支部の企画したマレーシア視察団に参加し、クアラルンプール(KL)での視察、そして日帰りでマラッカに行きました。私にとってマレーシアは初めてであり、大変新鮮な、興味深い発見がありました。

 

<マレーシアの人々>

国籍を有するマレーシア人の人口は約2900万人で、マレーシア人の約6割がイスラム教徒のマレー系民族で、ほかに中国系、インド系のマレーシア人が多くいます。彼らは、マレーマレー、チャイニーズマレー、インドマレーと区別して呼ばれています。1963年の独立当時にはマレー系国民の比率は50%くらいでしたが、出生率の違いから増えており、現在の比率になっています。この傾向は、今後も続いていくと考えられています。マレーシアでは、中国系国民は経営者に多く、インド系国民はアグレッシブに働くイメージがありますが、マレー系国民、特に男性は、ほかの東南アジア諸国でもそうですが、あまり働かないようです。そんな中、マレーシアでは、今でもマレー系民族の優遇策(ブミプトラ政策)が行われています。
また、マレーシアには国籍を有するマレーシア人以外に、外国人が約350万人いて、合計で約3250万人住んでいます。日本では日本人の人口が約1億2400万人で、外国人居住者数が約274万人であることを考えると大変に大きな比率です。マレーシアにとっては、労働力としての外国人の存在は重要であり、就労ビザの期間は延長されており、現在では最長10年まで認めています。

 

<マレーシアでの経営の特徴>

現地に進出している日系企業にとって、マレーシアの利点は、シンガポールと同様に英語が広く通用することです。ほかの東南アジア諸国では、ワーカー層と英語でコミュニケ―ションをとることは大変難しいですが、マレーシアではあまり問題がないようです。一方、気を遣う点としては、多様な人たちを従業員として使用していく必要があり、彼らの文化に配慮した経営を行っていくことが大変重要である点です。。現地の日系企業にとっても外国人の活用は重要な課題であり、今回訪問した企業では、半数以上の従業員がマレーシア人以外の外国人でした。特に、ネパール人が多いのが特徴で、ほかにミャンマー人、バングラデシュ人、ベトナム人等がマレーシアの労働力を支えているようです。最近は、ベトナム人を採用することが難しくなったとの声もありました。ジョブホッピングも当たり前の社会で、適正に労働力を確保、維持していくことは大変なようです。
 

<多様性を受け入れるマレーシア>

マレーシア視察の前に私が持っていた印象ですが、「時代錯誤のブミプトラ政策が今でも行われている」こと、「イスラム教が国境であり地方の一部に過激な風習も残っている」こと、「所得の水準はアジア諸国の中では相対的に高いが、成長率は低くアジア諸国特有の熱気は感じられない」こと、などで、ややネガティブなものでした。しかしながら、実際に見てみると、この国では、実に多様なバックグラウンドを持つ人たちが、それぞれに居場所を得て、しっかりと暮らしていけるような社会を形成しているのではないか、と思うようになりました。
今回、KLから日帰りでマラッカに行く機会がありましたが、その際にマレーシアのルーツを見たような気がしました。マラッカは、海の要衝、マラッカ海峡に面している街で、海峡の対岸はスマトラ島(インドネシア)ですが、200キロ離れており残念ながら見える距離ではありません。14世紀に、このスマトラ島の王族のパラメスワラ王子がシンガポール経由で、当時は静かな漁村であったこの地に入り「マラッカ王国」の建国を宣言しました。その後、中国人、インド人、アラブ人との交易や、ポルトガル、オランダ、英国の植民地支配を通して、多様な歴史や文化が幾重にも織り込まれていったようです。マラッカでリバークルーズに乗ると20分程度で水上から街を巡ることができます。わずかな時間で、マレーシアの伝統的な高床式家屋、チャイナタウン、ポルトガル街、オランダ街など、実に多様な文化が混ざり合っている様子を感じることができました。

ニョニャ料理
マラッカではニョニャ料理が名物ですが、これは中華料理の食材を、マレーシア現地の香辛料で味付けをするものです。中国系移民男性とマレーシア女性の家庭で作られるようになったスパイシーな料理です。中国系移民男性とマレーシア女性の間にできた女の子をニョニャ、男の子はババ、と言う、ニョニャ料理と言われるようになったものです。

 

 

<日本人が住みたい国ナンバーワン>

KLの飲み屋街マレーシアは何年も連続で日本人が移り住みたい国のナンバーワンになっています。その理由の一つとして、多様性の受容力もあるのかと思います。マレーシアはイスラム教を国教としている国ですが、イスラム教徒が行わない飲酒にも寛容なようで、飲み屋街もオープンです。アジアの他のイスラム教国バングラデシュでは、部屋で飲むための酒類を手に入れるのも簡単ではありません。隣のインドネシアは、イスラム教を国教としているわけではありませんが、イスラム教保守派に対する配慮からか、最近では外であまり目立つように飲酒はしないようです。マレーシアでは、多様な文化を受け入れる寛容さを歴史の中で自然に身に付けてきのではないかと思います。

以 上

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