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アフリカ見聞録

2019-07-06

三多摩支部国際部
西山雄二

2019年6月16日から6月29日の2週間、アンゴラ、ナイジェリア、南アフリカへ出張しました。私は現在商社の監査部門におり、現地での活動範囲は限られますが、現地駐在員から聞き取った内容を中心に報告させて頂きます。

1. アンゴラ
人口29百万人、国土面積125万km2(日本の約3.3倍)、一人当たりGDP 4,400ドル。1975年から2002年まで27年間続いた内戦の影響で産業は育っておらず、石油やダイヤモンドで得た外貨で食料品等の生活必需品等あらゆる物資を輸入しています。人口の9割は小作農ですが、内戦時代に敷設された地雷の影響もあり生産性は低いそうです。また、内戦後に樹立された共産主義政権下で汚職が蔓延したことも経済成長の妨げとなりました。現政権は大統領のリーダーシップの下汚職撲滅に取り組んでいますが、原油価格下落に伴い失業率は4割近いと言われています。
首都ルアンダの街は建設中のビルが多く、一見すると活況を呈しているようにも見えるのですが、よくよく見てみるとビル建設現場のクレーンはどれも動いておらず、投資が凍結してしまった様子が窺い知れます。豊富な資源に目を付けて巨額の投資を行った中国資本が、昨今の原油価格下落で投資を凍結させているのが実情のようです。アンゴラ在住日本人は35名程度と、残念ながら我々にとってはまだまだ遠い国と言わざるを得ません。
ルアンダの街中を車で移動していると、お互い道を譲り合うなど運転マナーが良いことに気づきます。現地駐在員によると、長く続いた内戦の影響で、同じ国民同士の争いが無益であるとのマインドが浸透しているためではないかとのことでした。アフリカにあっては比較的穏やかな国民性だとも言っていました。

ヨットハーバーから都心の遠景

ヨットハーバーから都心の遠景

建築がストップしたビル群

2. ナイジェリア
人口2億人、国土面積92万km2(日本の約2.5倍)、一人当たりGDP1,900ドル。
国家歳入の9割を石油・ガスに依存する典型的な資源国です。一方でシェールガス革命により米国向け輸出が減少傾向であること、原油価格自体が下落していることから、昨今経済は低迷しています。多民族国家で歴史的に部族間抗争が激しかったこともあり、アフリカ諸国の中でも治安が悪く、外国人の誘拐事件も日常的に発生しています。ちなみに、大使館関係者や他商社などは空港と市内間の移動には武装警官を付けているそうです。
多民族・多言語国家ですが、大別すると北部のイスラム教圏、南部のキリスト教圏に分けることができます。国のトップである大統領は選挙で選ばれるのですが、なぜか毎回それぞれのエリアの出身者が交互に選出されており、政治面ではまだまだ未成熟なようです。
人口2億人とアフリカ最大ですが、現在も一日約2万人ずつ人口が増えていることから(出生数4万人/日)、2035年には人口3億人が見込まれます。人口増加を背景に、消費市場、サービス市場の拡大が期待されています。低い収入レベルにあって、美容関連の支出は比較的多く、日本のカネカは女性用かつら(ウイッグ、エクステンション)の販売を伸ばしています(ブランド名カネカロン)。また、支出に占めるベビー用品費、教育費の割合も高く、今後の拡大が期待されます。
治安の問題でホテルと事務所を車で往復するだけだったのですが、滞在中当社の現地スタッフを含めナイジェリア人が微笑んでいる光景をほとんど見ることはありませんでした。豊富な資源に目を付けた欧米列強に支配され続けた影響なのかもしれません。

ラゴスの大渋滞

ラゴスの大渋滞

ホテル出入口の警備

ホテル出入口の警備

3. 南アフリカ
人口57百万人、国土面積122万km2(日本の約3.2倍)、一人当たりGDP6,130ドル。
アフリカ・サブサハラ地域のハブとも言える南アフリカ。この国の都市と言えば、ヨハネスブルグやケープタウン、トヨタの工場があるダーバンなどが思い浮かびますが、首都はプレトリア(人口74万人)です。この国では三権分立が明確であり、行政府を置くプレトリアのほかに、立法府はケープタウン(人口43万人)、司法府はブルームフォンテーン(人口26万人)に置かれています。今回私が訪問したのは、経済の中心であり最大都市であるヨハネスブルグ(人口96万人)です。
アジアへの交易の要衝として、また豊富な地下資源を求めて古くから欧州列強が進出してきたこの国は都市化が進み、街並みや道路は整然としていて緑も豊かです。一方で、殺人による死者は一日あたり57人と、依然治安の悪さがネックです。以前から耳にしてはいましたが、人気の少ない朝夕に道路を歩くことは厳禁で、土曜日の夕方にホテルから外に出ようとしたら、ベルボーイに安全の保証は無いと警告されてしまいました。昼間は多くの人で賑わう街中も、夜になると誰も歩いている人を見かけません。最近も、某商社の駐在員がレストランで食事を終え、車を呼ぼうとちょっと道路に出た瞬間に持っていたスマホを奪い取られたそうです。治安の問題は国民にとっても重大問題で、全国民の人口は年々増加しているものの、白人層では自由を求めてオーストラリアやニュージーランドなどに移住する人々が多く、人口も減少傾向にあるそうです。
とは言え、アフリカでは相対的に治安はよい方の部類に入り、インフラ、国民の教育レベルからも引き続きサブサハラ地域でのハブの地位はゆるぎないと思われます。また、高地にあることから、黄熱病やマラリアの懸念もありません。
余談ですが、週末は車で1時間かけて郊外にあるアウストラロピテクスの化石発掘所を観光しました。学問上全人類の発祥の地はここだそうで、世界的な分断が進む昨今、もっと多くの人がここを訪れて人類の歴史を振り返ってみるのもいいかなと思いましが。ちなみに、文化に関心が無い方には、名門ゴルフコースもたくさんあるそうです。

ヨハネスブルグの都心

ヨハネスブルグの都心

豊富な品揃えのスーパー

豊富な品揃えのスーパー

4. 終わりに
今回はアフリカ・サブサハラ地域49カ国のうち3カ国の訪問に過ぎませんが、最後のフロンティアと呼ばれるアフリカのポテンシャリティの高さを実感しました。人口は増加の一途であり、インターネットの普及による情報量の増加も相俟って豊かさを求める人々は加速度的に増加しています。治安が改善し、インフラが整っていけば、伸び代は極めて大きいと感じました。
一方で、歴史的に旧宗主国である欧州諸国の影響は依然大きく、また、中国・韓国勢は成長の果実を求めて国策として積極的に展開しています。日本の会社、日本人はアフリカで今後どのように立ち振る舞っていくのか、大きな課題だと思いました。

以上

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