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ザンビアの稲作とコメ流通事情

2019-07-29

三多摩⽀部 国際部
安藤 孝政

今年4⽉下旬から3週間の日程で南部アフリカのザンビアを訪問いたしました。今回、筆者にとってザンビアは初訪問であり、様々な発見がありましたので、その体験を共有させていただきます。

<ザンビアの概要と訪問の目的>
ザンビアの首都はルサカ、日本との時差は7時間で、公用語は英語、面積は日本の約2倍(752.61千km2)です。銅生産やビクトリアフォールズで有名です。日本からの渡航は中東経由かヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)経由が一般的です。隣国はタンザニア、マラウイ、アンゴラ、コンゴ民主共和国、モザンビーク、ボツワナと接した内陸国です。
今回の渡航目的は、ザンビア国内のコメの生産・流通の状況を調査し、稲作開発のプロジェクトを計画することでした。

<ザンビアの稲作と農業経営>
ザンビア人の主食はトウモロコシであり、米は日本人のように毎日食べる作物ではありませんが、年々消費量は増加しており、ザンビア政府は消費量の2-3割を輸入に依存しています。稲作はトウモロコシが栽培できない低湿地や沼地でも栽培が可能であるため、ザンビア政府は食料安全保障や作物多様化の観点で稲作を積極的に推進しています。
ザンビアでは西部地域が乾燥地ですが、ザンベジ川流域で伝統的に稲作が行われており、「モング米」としてブランド化に成功しています。しかし、灌漑地は少なく、現在でも粗放的な稲作が主流です。一方で、北部地域は生産米がブランド化されていないものの、比較的降雨量に恵まれていることから、近年生産量が伸びています。
次に、経営という面では、ザンビアの稲作農家も日本と同様で家族経営が大部分を占めています。機械化農業というよりは手作業での小規模栽培が主流です。栽培に必要な資機材や投入財のうち、農具、殺虫剤、肥料等は畑作用のものを転用可能ですが、種子や除草剤の確保は困難です。販路は収穫後に籾で仲買人や精米所に卸売する場合と、農家が賃挽きにより精米まで行い、白米として仲買人に卸売したり、小売(直売)したりしています。経営的観点から述べますと、籾販売より白米販売、卸売より直売の方を勧めたいですが、舗装道路や精米所もない農村地域での稲作は仲買人に籾のまま引き取ってもらうことが多いです。

<ザンビアのコメの流通事情>
総じていうと、コメの流通面では物流やインフラが不整備であることから、流通面で課題が多いです。高速道路はなく、舗装道路も幹線道路のみです。橋梁も少なく、ザンベジ川流域や北部の湖沼地帯は水運も利用されています。精米業でみると、そもそも精米業者が少ない。基本的には精米業者は地方の中核都市の多く、農村地域には少ないです。大規模精米所は農家から大量に籾を買い付けた後、精米とパッキングを経て、ザンビア国内で直売や卸売をしています。大規模精米所は小麦やトウモロコシの製粉業と兼業していることが多いです。一方、小規模精米所は賃挽きのみで、生産地の各郡に1-2か所設置されている程度です。農家が小規模精米所を兼業している場合もあります。
小売でみると、国産米だけでなく、南アフリカ共和国、ベトナム、パキスタン等から輸入米がスーパーマーケットに並んでいます。一方、地方の市場ではタンザニアからの陸路の輸入米(ナコンデ米と称されています)が、国産米よりも高値で取引されています。また、コンゴ民主共和国の国境周辺の地域ではザンビアから陸路にてコンゴ民主共和国に輸出販売している農家や仲買人も多い。このことから、コンゴ民主共和国ではコメは不足していると推察されます。

<さいごに>
中小企業診断士として、生産、流通、販売等の経営全体に関わることができることは非常に貴重な経験でありました。特に、海外での農業経営、アグリビジネス分野はザンビアに限らず、活躍の場が多くあることから、ザンビアの経験を活かし、今後、他国の農業支援にも貢献していきたいと思っています。

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