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2015年度支援事例:消費税増税に伴う経営実態アンケート調査

2015-12-25
名称
消費税増税に伴う経営実態アンケート調査
団体名
一般社団法人多摩経営工房、町田市経営診断チーム
照会先
一般社団法人多摩経営工房、町田市経営診断チーム
猿山 康継(jinkikaku@h8.dion.ne.jp)

1.調査概要

 町田商工会議所より依頼を受けて、町田市内の中小事業所について、消費税5%から8%へのUPの影響と対応状況、ならびに売上予測や経営課題、市や会議所の施策等への要望について調査を行いました。

 調査スケジュールとしては2014年11月20日に発送し、12月5日締め切りました。調査数としては3,803事業者向けに配布し、505件を回収(回収率13.3%)しました。結果は2015年2月までにまとめました。

 

2. 調査結果

 「消費税の増税影響」については、69%が「影響あり」と答えていましたが、大きな問題として「仕入れの価格上昇のコスト増加」がクローズアップされています。これが中小・小規模事業者にとっての経営圧迫要因となっており、これに対する支援施策が必要と考えます。

 中小企業庁が中小・小規模企業に対し、2014年10月に「消費税の転嫁」の問題をアンケートし、1,414社から回答を得たものでは、

①   価格転嫁は「ほとんどできない」「まったくできない」が約半数。特に小売業・サービス業では70%超が対応できないとの回答。

②   原材料、エネルギーコストの増加などのコスト圧迫要因として「価格転嫁」できない問題が大きくクローズアップされ、この結果、経常利益の減少にに至ったとの回答が47.6%あり、早急な施策の検討をする。(中小企業庁)

とのことでした。

 町田市での今回の調査結果では、消費税の価格転嫁を行っている傾向はやや多いものの、仕入れ価格上昇に伴うコスト増加については同様に圧迫要因となっており、問題点として、この点がクローズアップされました。

 

3.付加調査

今回の調査では、消費税の問題のほかに、経営課題などをあわせて質問し、以下の傾向が把握できました。また、市・商工会議所の対応への希望・要望も整理しました。

<経営課題について>

 売上または利益増加のための「経営課題」の有無については、人数規模が小さくなる程「課題なし」が多くなる傾向が若干見られるものの、回答は概ね半々でした。課題の内容としては、広告・宣伝、差別化、営業力向上、市場開拓や新事業・新製品など「積極策を課題」としているケースが多いですが、経営そのものの見直しや経費削減、社員教育、人材確保、資金調達など、「経営資源の増強」を課題としているケースも多いです。「課題なし」の中には「手の打ちようがない」という趣旨の意見もありました。

<町田市の産業振興策について>

 イベントの実施、地域ブランドへの積極PR支援、町田市活性化のために、地産品の優先使用、人不足への対応、市役所・廃坑小学校の跡地の活用などの意見がありました。

<町田商工会議所の支援策について>

 異業種交流会等のコミュニケーションの場づくり、経営幹部や社員教育のためのセミナー、新卒採用等への支援、市内事業者の紹介PRなどの意見がありました。