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海外のペイメント事情

2016-07-07

東京都中小企業診断士協会
三多摩支部国際部
手塚 宏

 1.はじめに

 小生は、現在勤めている会社で、新たな事業創造をしていくミッションを担っております。海外駐在などの経験は無いのですが、様々なソリューションを色々な国で提案してきました。その中のソリューションの一つに電子マネー提案があり、その国の決済の仕組みなども色々調査してきました。決済は、現金から、クレジット、電子マネー等様々な仕組みで決済の仕組みが出てきていますが、その国の事情や状況で色々な事例が存在します。今回はその中でインドネシアのペイメント事情についてご紹介します。(少し、古い情報なので今は少し違っているかもしれませんが、ご容赦ください)

 

2.インドネシアのクレジット、電子マネー事情

Card_Reader 以前(2012年)、インドネシア出張でお客様と話をした際に、クレジット端末の多さが課題であるという話を受けました。一般に多くの国では、決済システムが統一されて、どこのクレジットカードでも受け付けられる端末があり、その端末を使って、決済ができます。我々もブランド(VISA、MASTER、JCB、AMEX等)が使えるかどうかだけチェックします。ただし、インドネシアでは発行した銀行のクレジットカードが使える専用のクレジット決済端末でしか決済できません。すなわち、銀行のクレジットカード以外は使えないことが多くなります。お店では、銀行ごとに決済端末を用意する必要があり、お店には複数の端末が並びます。(右図は実際の店舗の写真)

銀行口座の保有率が低い一方、経済の発展が著しい同国では、銀行口座の獲得が銀行にとって重要であり、このため、まだ銀行間で連携するのではなく、決済端末を差別化要素としてサービスの提供を行っています。すなわち、「自分のところに銀行口座を作れば、店舗で利用可能なクレジットカードがもらえるよ。他社のカードだと使えないこともあるよ。」という形で差別化を図っていることになります。店舗からすると、たくさんの決済端末を並べなければいけないので、有力な銀行の端末を置くことになります。また現段階では、小売り事業者は使ってやるという立場なので、決済端末の端末代金や決済手数料を払っていないとのことです。スペースが狭い中でたくさんの端末を多く置きたくないというニーズが高まると将来的に決済インフラの統一や端末の統一がされていくのだと思います。その時は決済手数料も取られることになるのだと思います。

また、インドネシアでは、SMS(携帯電話のショートメッセージ)で電子マネーのやり取りができます。日本以外の国では、あらかじめ通話料金を通信事業者から購入するプリペイド方式が多く使われています。このプリペイドのチャージ機能を使って、購入したプリペイド代金を他の人に送金することができます。しかも、送金して溜めたプリペイドのお金をATMで引き出すこともできます。手軽でお金をやり取りできるということで、大変普及しています。一方便利であるからこそこれを使った振り込め詐欺も多いようです。ネットでの記事ですが、「お母さんから新しい番号を入手したので、すぐにチャージ(プリペイドの入金)してほしい」というSMSが来る詐欺が多発したそうです。利便性が高く簡単に利用できるからこその落とし穴ですね。携帯での送金はインドネシアに限らず、新興国においてかなり利用されています。

 

3.最後に

インドネシアに出張に行った際は、下痢と腹痛がひどく、日本に帰ってからも喉の炎症が治らず、結局扁桃腺の摘出手術をすることになりました。皆さんも経験あると思いますが、出張先で体調を壊すのは最悪ですね。

次回機会があれば、他の国のペイメントに関連する事例を紹介していきたいと思います。