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ベトナム視察報告

2018-08-23

三多摩支部国際部 永吉和雄

城南支部海外視察団に参加し、5月29日~6月3日の6日間の日程でベトナム社会主義共和国のホーチミン(南部)、フエ、ホイアン、ダナン(中部)を視察してまいりました。三多摩支部からは永吉の他、徳久様、櫛田様が参加されました。

<ベトナムの国土>
ベトナムはインドシナ半島の東に南北1600キロ以上(海外線の距離だと2000キロ以上)に延びており、北部、中部、南部では気候も文化も大きく異なっています。北部ハノイ周辺は寒暖差が激しく四季のある気候で夏は40度近くにもなりますが、逆に冬は15度くらいの寒い日もあります。中部ダナン周辺は3月~8月が乾季で9月~2月が雨季、南部ホーチミン周辺は12月~4月が乾季で5月~12月が雨季とされており、気温は年間を通して30前後です。今回、ホーチミンでは湿度が高く時々雨にも会いましたが、フエ、ホイアン、ダナンではよく晴れていて日差しが大変に強く感じました。

<南北の違い>
ベトナム人の9割は中国系のキン族が占めていますが、経済的には北部ハノイと南部ホーチミンの二極経済となっています。もともと南部は農業生産に適した気候であり早く発展しました。作物にも恵まれ、人々は豊かで大らかな性格であると言われています。一方、厳しい自然環境におかれていた北部では、人々は勤勉で貯蓄性向が高いと言われています。ハノイとホーチミンは、仲が悪いわけではないのですが、お互いに強く意識しているようです。
日系企業の進出は、北部は大手メーカーが多くパナソニック、京セラなどが立地しています。政治力の強い北部が大手メーカーを積極的に誘致した経緯があります。最近では、下請け企業の進出も多くなり裾野産業が拡がりをみせています。一方、南部に進出している主な企業には日本電産、オリンパス等がありますが、中堅・中小のメーカーも多く進出しています。また、所得が相対的に高い南部には、食品メーカー、小売業も多く進出しています。ハノイもホーチミンも新興国らしい熱気を感じることができますが、ハノイが計画的に発展しているのに対して、ホーチミンは自然と進化していっているような印象を受けました。
<視察先>
今回、ホーチミンではJETROホーチミン事務所、JESCO現地法人(電気設備関連)、旬彩炙りあん(日本食)、ロンドウック工業団地、TENTAC(アパレルメーカー向けラベル等製造)AX-DESIGNS(インテリア製造)、ビーパン・テクノパーク(日系中小製造業向けレンタル工場)、ESUHAI社(日本企業向け人材育成、人材紹介等)を訪問し、幅広く情報収集し、経営の現場を視察することができました。
ホーチミンでの視察後は、中部のフエ、ホイアン、ダナンで観光地を訪れました。世界遺産である「フエの建造物群」「古都ホイアン」、またリゾート開発も進む観光地のダナンを後半の2日間で回ることができました。古都ホイアンには、鎖国前の日本人が活躍していた跡も残っており、大変に興味深かった。

<ベトナムの人材とESUHAI社>
訪問先の一つであるESUHAI社について少し詳しくご報告いたします。
国別の日本への留学生数は、中国と並びベトナムが突出して多くなっています。日本で技術を習得して自国の発展に貢献したいと考えるベトナムの若者は多くいます。若く豊富な労働力に恵まれているベトナムから、意欲のある若い人たちを日本が受入れることは日本の労働者不足問題の解消に役立ち、彼らが日本での学習、就業を通して技術・ノウハウを身に付けて技術移転を行うことは今後のベトナムの発展に寄与します。ESHAI社は、日本で就業を希望するベトナム人に対して、日本の職場に対応できる教育を行い、日本へ送り出しています。ESUHAI社で教育を受けたベトナム人は、日本に派遣されてからも、礼儀が正しく基本動作がしっかりしている、積極的である、等受入企業からも高く評価されています。
今回、技能実習生として日本での就業を目ざしているクラス、高度技術者として日本での活躍を目ざすクラス、それぞれの授業を見学させていただき、彼らに質問する機会をいただきました。こちらからの質問に対しては、ほとんどの学生がすぐに手をあげて、何とか日本語で我々に伝ようと真剣に話をしてくれました。積極さと熱意が伝わってきて大変嬉しく、彼らに日本で良い経験をしてもらいたいと強く思いました。日本にとっても、ベトナムにとっても彼らは宝だと思います。彼らをしっかりと受け入れて、日本のすばらしさと技術を吸収してもらうことは、われわれの責任であり、日本の価値を高めることにつながるのだと思います。