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タイ国でタイ語を話す

2019-08-28

三多摩支部国際部
水田 昌志

私は、2001年10月から2004年9月までの3年間、タイで通信工事のプロジェクトに従事しておりました。当時、悪戦苦闘しながらもタイ語を使い、タイ人と共にプロジェクトを遂行した経験をもとに、今後もタイへ日系企業の進出が増加していくなかで、タイ語を少しでも身近に感じながら、タイ人とのコミュニケーションを充実させて頂きたく、情報を共有させて頂きます。

<日系企業のタイへの進出状況>
日本貿易振興機構(ジェトロ)の「タイ日系企業進出動向調査2017年」調査結果によると、2008年から2014年度にかけては、自動車産業を中心とした製造業が最も進出数を増加させましたが、2014年度から2017年度にかけては、卸売業・小売業などの非製造業が進出数を増加させた結果となっております。タイの経済発展による中間層・高所得者層の増加や、タイは東南アジア諸国の中心という立地から、周辺国のハブ拠点としての魅力がタイへの進出を後押ししていると考えられます。
2017年では5,000社を超える日系企業がタイに進出し、現在も増加傾向にあります。

<日系企業のタイへの進出数>

日系企業のタイへの進出数

<タイ人の英語力>
国際教育会社EF Education Firstによる2018年の英語能力指数調査では、タイは64位/88か国(非英語圏)となっております。(2016年は56位/72か国、2017年は53位/80か国)
ちなみにこの調査における2018年の日本の順位は、49位/88か国(非英語圏)であり若干ですがタイよりも英語力は優れています。(2016年は35位/72か国、2017年は37位/80か国)
しかしながら日本の建設現場を考えた時に、日本人の建設現場従事者が「英語が得意である」ことは稀であり、それ以上にタイでもタイ人建設現場従事者は、英語を苦手としている状況が想像できます。私が赴任した時代にはこのような調査データはありませんでしたが、英語を理解できるタイ人の現場従事者は1人だけでした。

<タイで経験したプロジェクト>
タイに赴任した当時のプロジェクト概要は以下となります。
■要員構成:日本人は1名(プロジェクトマネージャーの私だけ)、タイ人スタッフは約100人。(下請け企業の作業員を含めると、従事するタイ人は300人以上)
■担当エリア:ピサヌローク・ナコンサワン・チャイナート・カンパンペット・ペッチャブンなどタイ北部。(日本の九州全土と同等の広さ)
■組織体制:各県(ジャンワット)に工事管理拠点を新設し、タイ人のサイトマネジャーを配置。指揮命令系が伝達しやすいピラミッド型の組織体制を構築。
■私の業務:タイ人のサイトマネジャーへの指示・指導。週一回の定例会議での進捗確認や、遠隔地のマネージャーへは携帯電話で直接連絡し情報を共有。
このような状況下では、私自身がタイ語を覚え、タイ語を使うことがプロジェクトを遂行させる為には必須となりました。

<こうしてタイ語を覚えた>
最初は、とにかく単語を覚え、とにかく声に出します。そのうち何となく通じてくると会話が楽しくなるので、次は、タイ語の基本や単語の構成を意識しながら学習しました。

【タイ語の特徴①】短い単語を並べれば会話ができます。「私・食べる・ごはん」など。
タイ語の基本形を一つ紹介します。基本形に知っている単語を当てはめるだけで会話になります。

【タイ語の特徴②】単語が組み合わさって新たな言葉となることが多い。
以下の場合は「ジャイ(心)」を基本として、その前に付いた単語により新たな意味の言葉に変化しますが、覚えやすい・想像しやすいといった利点があります。

【タイ語の特徴③】発音は5種類の高低がある。(発音は聞いて真似をするしかありません)
結論とすれば、多少発音がずれても文章全体から意味をくみ取ってくれることも多いので、どんどん単語を覚えて会話を楽しむことが上達への一番の近道となります。

参考文献:岡本麻里『今日からタイ語!』(白水社、2016年)

<さいごに>
今回は、私が実践した簡単なタイ語の上達方法をご紹介しましたが、機会があれば「タイ語が話せるとどんな良いことがあったか」などにも触れて、お伝えしたいと思います。

 以 上