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顔認証を利用したサービスの進展について

2019-09-28

三多摩支部国際部
手塚 宏

現在、顔認証を使ったサービスやシステムが増えています。小生も今勤めている会社で顔認証を使った様々なサービス・ソリューションを検討・展開しています。今回、どんなところに使われ、どんな課題があるかなど記載いたします。

顔認証はあらかじめ登録されている顔画像とカメラに映った顔画像とを照合する仕組みです。利用シーンが非常に増えており、国内外の様々なシーンで利用されています。皆さんが一番目にするのは、空港だと思います。最近では、パスポート画像と本人を顔認証システムにより、偽造パスポートの利用を防ぐとともに、同手続きを自動化することで、スピーディな空の旅を提供するようになってきています。北米では既に15の空港に導入されており、2021年までに20の空港に適用されるそうです。日本でも出国審査に使われていたり、税関検査などにも使われ始めています。

2つ目の事例は、テーマパークです。ユニバーサルスタジオオーランドでは、特別パス(EXPRESS PASS)の利用に関して、不正利用を防ぐために、顔認証を使っています。EXPRESS PASSは購入することで、待ち時間が少なく様々な乗り物に乗れるようになるのですが、普通に利用すると貸し借りが簡単なため、1枚買って他の人とシェアすることを防ぐために、最初の利用で顔登録を行い、2回目の利用で同一人物かどうかをチェックすることで、最初に利用した人しかそのPASSが使えなくなるようになります。日本では、同じ仕組みを年間パスポートユーザに適用しています。年間パスポートの貸し借りを防ぐために、顔認証を利用しています。また、日本ではコンサート会場などでも、購入した本人以外の人物がコンサートチケットを利用するのを防ぐのに使われています。これは、利益目的でたくさんのチケットを購入し、他者に販売する行為をすることを抑止することにつながります。この仕組みの導入により、チケットが購入しやすくなったと喜ぶファンも多いと聞いています。

また、最近では、ユーザの持つ顔情報を元に様々なサービスを連携して、適用することを検討されています。空港を降りてから、街中に移動する交通機関、ホテルでのチェックイン、食事、お土産購入、アミューズメントエリアでの入場等を顔情報のみでサービスをするような実証実験も行われています。このような、ユーザの負担を少なくした、様々なサービスが今後至るところで適用されるのではと思います。

一方、顔認証に関しては、顔画像を撮られることに拒否感を持つユーザもいることも事実です。そういった人がきちんとオプトアウトできる仕組みの提供も重要になります。また、北米では、差別の温床になるという報告も出てきています。これは、顔認証がある特定の人種(顔の色や性別)に対して、認証精度が悪くなる等の報告がされています。こういた事象が差別につながるということで、一部、顔認証の導入に関する制限が進んできています。サンフランシスコでは、公共機関での顔認証の利用を禁止する法案が採択されました。

今後様々な地域で顔認証の利用が期待される一方、差別や人権の問題から禁止される方向など様々なことが起きることが予想されます。個人的には便利になるのであれば、色々なところで使ってもらえればと思っています。

 以上