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海上運賃について

2019-11-17

三多摩支部国際部
佐藤和彦

 貨物を外航輸送する場合、通常はコンテナを使用します。20フィート(長さ約6m)、もしくは40フィート(長さ約12m)コンテナが標準で、海上運賃もこの1コンテナ当たりいくら、という形で決められます。今日はコンテナの海上運賃の話をします。

海上運賃にはいわゆるベースの輸送単価のほかに、航路や船会社ごとに様々なサーチャージ(追加料金)があります。具体的に挙げてみると、CAF、BAF、FAF、YAS、LSS、CIC、AFS、EBS、その他まだまだ沢山あります。名目としては為替リスクの回避、燃料の割り増し、環境対応の費用、輸出入の貨物量の不均衡の調整、仕向地への事前通知などなど、数え上げたらきりが無く、よくもまあいろいろな名目のチャージを考え付くものだと感心します。

これらは契約ベース単価に組み込まれるものもありますが、ある日突然通知されるケースもあります。しかもこれらはその航路を走る船会社すべてにほぼ同じタイミングで適用されることが多く、他社に契約を切り替えることでの費用負担の回避は難しいです。ちなみに、ある程度時間が経つとサーチャージがフェイドアウトしていることもあります(でも船会社は基本的に通知しません、改めて見積もりを取ると判明します)。いずれにしても、海上運賃コストは実務に携わる人々の悩みのタネになっていることが多いかと思います。

上記のような、同じタイミングでのサーチャージの適用は、通常の業界であればいわゆる談合と言われるものになりますが、外航輸送については、安定輸送の確保という理由で独占禁止法の適用除外となっております。このことも、サーチャージがなかなか無くならない原因の一つです。

海外取引において、為替であれば為替予約、原材料であれば先物予約などでのコスト増リスク回避の手段がありますが、海上運賃については、一定期間のレート固定契約を締結したとしても、サーチャージの部分は依然リスクとして残ります。

船会社との交渉でのリスク回避が難しいとすると、取引相手との契約条件でサーチャージの扱いについて、取り決めておくことが実務上重要となります。

以 上