ますます発展するカンボジアについて
三多摩支部国際部
設楽英彦
1.はじめに
先日、遅めに夏休みをいただき、カンボジア(シェムリアップ、プノンペン)に行ってきました。仕事ではなくプライベートな観光ではありますが、街を散策するだけでも多くの気づきを得ましたので、皆様にご報告させていただきます。
2.アンコールワット遺跡群について
世界的にあまりにも有名なアンコールワット遺跡群については、特に今更申し上げることもないのですが、日が昇る瞬間の美しさには圧倒されるものがありました。
現地には5:31よりちょっと前に着いたのですが、周りは全く暗い状態でした(写真上)。観光客の中には周到な準備をされている方々がおり、ライトを持参している方もいたのですが、すぐ不要になります。というのも5:46になると朝日が見え始め、なんとも言えない幻想的な空間になりました(写真中)。と思っていたのもつかの間、今度は日が普通に差し始めて、朝らしい朝になりました(写真下)。このように、たった1時間もしないうちに目まぐるしく景色が変わる様子は圧巻でした。写真だけではこの様子はお伝え出来るものではないので、ぜひ現地に足を運び、その素晴らしさを体感してほしいと思いました。
なおアンコールワットは「遺跡群」なので、中心部のアンコールワット以外にも数多くの史跡が残っています。中には、首を刈り取られた仏像などもあり、歴史の長さ,重みを感じる側面もありました。また、日本人による国際調査団の様子なども展示されており、この遺跡の調査・維持には多くの方が携わっているんだな、と改めて思った次第です。
また、アンコールワットは街も賑わっています。下の写真は繁華街にあるパブストリートですが、それこそ“世界中”から観光客がやってきているのがわかりました。アメリカ、欧州、オーストラリア、東南アジア、中国、日本など多くの国籍の方々が集って賑わう街というのも他国ではあまり見られない光景です。
なお、カンボジアのビールは安くて美味しいと評判で、下の写真のものはわずか1USドルで飲めます。カンボジアでは今でもほぼUSドルが主に使われます。現地通貨(リエル)はほとんど使う機会がありませんでした。
3.発展し続けるプノンペンについて
プノンペンについては、2014年の当コラムでも紹介されていますが、当時はイオンモールが開店したばかりでした。現在はどうでしょうか。
イオンモールはすっかり街になじんでいました。また、日本のイオンで売っているものと品揃えがほとんど変わりません(納豆まであります!)。それと「イオンカード持ってますか?」と店員さんに聞かれたときは驚きました(使うことはないと思い、日本に置いてきたのを後悔しました)。日本と同じように店員さんがイオンカードを勧めている姿は、不思議な感覚でした。
また出口付近には「TOKYO FOOD TOWN」という店(写真下)があり、お寿司や定食が食べられます。
そして店内にはハロウィンのオブジェ(写真下)がありました。同国でどれだけハロウィンが定着しているのかはわかりませんが、イオンを通じて日本のみならず数々の文化が同国に入ってきているのがわかりました。
なお、現地の移動でよく使うトゥクトゥクも「Grab」「PassApp」という配車アプリが非常に普及しており、面倒な価格交渉も不要なら、支払いもカード決済(現金不要)で、安心かつ便利に利用できました。街を少し歩くと、スターバックスでコーヒーを楽しむ人々もいれば、慌ただしくバイクで移動する人もおり、この数年で都市自体が急速な変わりぶりであったことが想像できます。
プノンペンの変化について、現地の方に聞いてみました。「そうですね。このあたりが変わったな、と感じるようになったのはイオンが出来たというよりこの1,2年ですね。」とのこと。具体的な変化としては、中国人が数多く来るようになったそうで、私が話を伺った方(日本人のバー経営者)の言うように、「酒店(ホテル)」が数多くあるのを空港から中心街に来る際に多く見かけました。また、下の写真のように建設中のビルも多く見られ、同都市の発展ぶりは想像を超えるものがありました。
カンボジアの1人当たりの名目GDPも、2014年には1093.8ドルだったものが2019年には1620.4ドル(推計)となり、5年間で実に1.5倍近くの成長を遂げています。そしてプノンペンは現在の人口200万人から更に増え続け、2030年には240万人になると推測されています。その一方で、中間所得層も増え、労働者の賃金も上昇しています。従って、プノンペンへの人口集中が進む中、都市部では生産拠点としての魅力が薄れつつあるようにも感じました。今後どのような変化、発展をしていくのか、楽しみです。
以 上