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新型コロナ禍でのアメリカ赴任

2021-08-17

三多摩支部国際部
西山 雄二

2021年3月20日、社命によりアメリカ・テキサス州、ヒューストンへ赴任しました。新型コロナ禍のアメリカ赴任を通じて経験したこと、感じたこと等を書き連ねて参りたいと存じます。

ヒューストン空港到着後、事前に予約していたレンタカーで市内のホテルに移動しました。レンタカー店でオプションとして借りたカーナビはスマホと見まがうようなコンパクトな製品。店員からは一言、「充電切れかけだから気をつけて」。Google Map等アプリの機能向上でスマホが立派にカーナビの役割を果たす昨今、レンタカー店でカーナビを借りる客が珍しいようでした。

シガーソケットにつないでシフトレバー脇に置いた視認性の低いカーナビを頼りに、不慣れな左ハンドルの車で市内のホテルにやっとの思いで到着。当地での生活を始めるにあたりやるべきことは盛りだくさんですが、真っ先に着手したことの一つはPCR検査でした。ヒューストン行きフライトに載るため、出国前に日本で陰性証明取得済みだったのですが、さらに到着後のPCR検査での陰性確認により自主隔離期間を通常の10日間から7日間に短縮できるためです。たった3日間の違いとは言え、アパート探しやら自動車の購入等々速やかに行うためにも必要な選択でした。先輩駐在員から提供された検査機関リストから、予約不要、車中で受検でき、即日結果をメールで受領できる検査を受検しました。後日会社による「米国赴任の案内」に従い300ドルの実費を保険求償するも、医師の指示に拠らないことを理由に結局費用は自己負担。あとになって案内を読み返すと、「保険求償出来る場合もある」、と。ご存じの通りアメリカでは健康保険といえども民間企業が提供しているのであって、日本のように一律のサービスではありません。また、保険会社によって提携する医療機関、場合によっては同一医療機関であっても医師によって保険適否がまちまちであることから、医療機関は慎重に選ぶ必要があります。現地(ヒューストンとの意味では無く、米国内主要都市)の日本人医師等が、事情に疎い日本人駐在員やその家族を相手に法外な(場合によっては百万円単位の)治療費を請求することも珍しくはないようです。最低限、かかりつけ医と歯科については、保険会社によくよく確認のうえ予め選定しておいたほうがいいのだろうと思います(かく言う私は、生来の無精で未対応ですが)。保険会社の窓口となるエージェントは日系のところもいくつかあり、日本語での相談も受け付けています。なお、現在PCR検査は無料で受けることが出来ます。

徐々に生活の準備は整ってきて、次なる目当てはワクチン接種。赴任当時は米国でもまだまだ新型コロナ感染は拡大ペースであり、どこに行くにもマスク着用で窮屈な日々でした(ま、慣れっこではありましたが)。ワクチン接種についても先輩駐在員からノウハウを聞き、予約が取りやすい大学附属医療機関のWeb siteから予約を入れたところ、(確か)2週間弱で予約確定のメールが届きました。このころは医療機関以外に薬局もワクチン接種実施の受け皿となっていましたが、予約を取るのはとても困難な状況でした。初回を4月11日、二回目を4月30日に打ったのですが、熱心なボランティアを中心によく組織されている印象でした。接種を受けに来ている人々が明るい表情だったのが印象的でした。一方、二回目の会場で、なんとなく来場者が減ってるなとの印象を受け、ボランティアらしき人に聞くと、やはり来場者数のピークは越えたとのこと。いよいよコロナ収束かと思いきや、ことはそう簡単ではありませんでした。

7月あたりから、2回のワクチンを完了した人の人口比率が全米で伸び悩んでいる、とのニュースを耳にするようになりました。人体への影響を見定めるために様子見を決め込む人、宗教指導者等地域の指導者的存在の人々によるワクチンへのネガティブキャンペーン等、事情は様々のようです。大きく取り沙汰されていたことの一つは、南部の福音派指導者による「たかが数%の確率の死亡を回避するために、他人の血を体内に入れるのか」との主張。当該主張は福音派の教義に基づくものでは無さそうですが、輸血よりも死を選ぶ極端な宗派もあると聞いており、事態は複雑のようです。そこに襲った変異株の蔓延。保守的な市民が多いとされる南部を中心にコロナ感染は猛烈な勢いで再拡大しており、目に見えてマスク着用者も増えました。ちなみに、今日(8月15日)地元のダイソーへ立ち寄った際など、買い物客ざっと30名程度のうちマスク未着用は私含め2名しかいませんでした。マスク嫌いと言われるアメリカ人にしてこの状況、人々がいかにコロナ感染を恐れているか実感するとともに、自らの振る舞いを大いに反省しました。

各国ともワクチン接種率50%を超えたあたりで頭打ちとなる傾向で、接種率向上にあれこれ知恵を出しているようですが、バイデン政権は新たにワクチン接種を受けた若者に対して100ドルの報奨金を支払うよう各州政府に要求したとか。とは言え、上記の通りワクチンを打たない理由も様々であり、一筋縄ではいかなさそうです。

残念ながら、With Coronaは先が見通せず予断を許しません。全世界が同じ原因に苦しめられるという、人類が過去の戦時下や大恐慌下ですら経験しなかった困難をくぐり抜けた先に待つ未来は世界平和であって欲しいのですが、どうやら、人種、性別、世代、性的嗜好、イデオロギー、思想、宗教・宗派、等々による分断された世界になる可能性の方が高いようです。全人類が一致団結するには、宇宙人の攻撃しかないのでしょうか?

【スーパーマーケットでのコロナに関する掲示の変化】

5月31日撮影
ワクチン未接種者はマスク着用のこと

8月6日撮影
予約無しでワクチン受付倉庫従業員募集

【スーパーマーケット・バナナ売り場】

コロナ前から違和感あったのですが、好きな本数持って行けるのは合理的ですが、衛生面ではどうなのでしょう?日本ではコロナ後総菜バイキング見なくなりましたけどね。。。