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オンラインで拡がる国際ネットワーク

2022-04-02

三多摩支部 永吉和雄

海外渡航が困難な状況の継続

2020年初めから今まで、コロナ禍で海外への渡航は難しい状況が続いています。ほとんどの方々は、この2年間は、仕事でも観光でも海外に行っていないと思います。私は2019年の11月から12月にかけて10日程度ベトナムに出張したのを最後に海外には出かけていません。東京都中小企業診断士協会(東京協会)では、毎年11月頃に30名程度の会員を募集して海外研修事業を行っており、私は幹事役として毎年参加していました。2020年、2021年は実施を見送り、今年は状況を見ながらできれば企画したいと思っていますが、安全が確認され、入国制限が完全に撤廃されるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

Withコロナの覚悟とオンライン活動の活発化

振り返ってみますと、2020年新型コロナウィルス感染が世界的に拡大し始めたころ、2年以上もこのような状態が続くとはほとんどの人は思ってもいませんでした。私たちの多くは、東京オリンピック・パラリンピックは翌年に延期されることなどはなく予定通り開催されると思っていましたし、外出や移動が制限されるのもせいぜい数カ月程度のことと考えていたと思います。「これは長引く」と覚悟を決めたのは、2020年の4月頃になってからではなかったでしょうか。そして、その頃からオンラインコミュニケーションが活発になってきたと思います。東京協会の会議や研究会等の活動もオンラインが中心になってきました。

オンラインコミュニケーション普及の恩恵

Zoom等によるオンラインコミュニケーションは、コロナ禍での私たちの活動に大きな威力を発揮しました。実際に会って話をするのとはもちろん違いはありますが、東京協会国際部や東京協会ワールドビジネス研究会(WBS)が目指していた内外の仲間とのネットワーク構築に、オンラインコミュニケーションの普及は絶好の機会となりました。オンラインコミュニケーションのメリットは、参加が容易であり、会議やセミナーに多くのメンバーが集まったことです。国際部会やWBS定例会のメンバー参加率は上がり、企画・開催したセミナー等イベントの参加者は、集合形式での開催と比較して、大幅に参加者数が増えました。会場に来る時間がなくても自宅や勤務先から参加していただけた方が多く、また、会場に来ることはできない遠方の方、海外の方にも多く参加いただき、新しい方に参加いただくことでよい刺激を受けることができました。東京協会と他府県協会とのつながりも広がり、内外の診断士のネットワークは拡大・強化されています。そのような中で、海外在住の中小企業診断士とのつながりも出てきており、中国診断士会、タイ診断士会等のメンバーとの関係もできました。

タイ診断士協会メンバーの協力を得た支援

タイ診断士会は、タイ国在住の診断士が設立した診断士会で、タイ国発で国際派診断士のネットワーク構築を目指して活動をしています。現在は、タイ、インドネシア、ベトナム等に在住している診断士と、赴任期間を終えて帰国をした診断士で定期的に会合を持ち、活動を通して交流を深めています。私は、かつて香港に在住した際にタイ国を担当エリアとして頻繁に出張していた時期があったため、当会のメンバーに入れてもらいました。

タイ診断士会のメンバーは、診断士登録しているのですが、海外に赴任しているためなかなか中小企業の支援機会がありません。せっかく診断士登録しているのに企業の支援機会がほとんどないのは、メンバー全員が大変残念に思っています。一方、海外展開を検討している中小事業者にとっては、信頼できる現地の情報が得ることが容易でなく大きな課題です。もし、そのような企業が海外在住の診断士との関係を持って支援を受けることができれば、両者にとって大きなメリットになるはずです。

そのように考えて、不動産業と飲食業で海外展開を目指す中小企業経営者をタイ診断士会に紹介し、私も加わって、現地の情報収集、課題の発見、解決の方向を探ることを目的とした支援を始めました。そうしたところ、様々な業界に身を置いている現地在住の診断士が、それぞれの視点で生の現地情報を提供してくれるので、大変に価値のある情報が集まり、解決の方向が見えてきています。紹介した経営者にはとても評価され、喜ばれています。

Afterコロナでのオンラインコミュニケーション

間もなくコロナ禍も落ち着き、行動の制限もなくなり、海外渡航も再開されるようになると期待しています。やはり、オンラインだけでは伝えらきれない重要なことも多いと思います。タイ診断士会と知り合いになった経営者とは、コロナ禍が落ち着いたらタイに行って、現地の診断士と会う約束をしました。

しかしながら、コロナ禍で、私たちはオンラインコミュニケーションの可能性、効果を十分に認識したと思います。Face to faceが復活しても、オンラインも組み合わせて、活動の範囲を拡げ、有意義なネットワークの構築を目指したいと考えています。

以 上