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令和4年度の中小企業施策 (海外展開支援)を活用した企業支援について

2022-06-03

                                 三多摩支部 国際部
酒向 敦

1.概要

令和3年度と令和4年度( 4月26日に中小企業庁ホームページに掲載)の中小企業白書における、海外展開支援等に関連する施策を比較すると、予算規模に大差ないが、コロナによる海外出張自粛などで海外からの情報を直接取りにくくなっている影響を受け、海外情報に関する収集を入手するサービスや、インターネットを活用して商取引を促進する支援が追加されている。
現実的には、中小企業者やその支援者がこれらの施策の内容が良くわからない、活用しづらい、のではと思われるので、幾つか代表する施策について、小職なりに分析をする。あくまでも小職の私見に基づく解説になるので、ご参考までとしてご覧頂きたい。

2. 令和4年度 中小企業が活用できる支援

(第4節 海外展開支援)一覧
(1) 海外展開のための支援事業者活用促進事業(現地ニーズ等活用促進事業)
(2) デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業
(3) 中小企業海外ビジネス人材育成支援事業(中小企業・小規模事業者人材対策事業)
(4) 技術協力活用型・新興国市場開拓事業
(5) 安全保障貿易管理の支援
(6) 海外サプライチェーン多元化支援事業
(7) 海外展開のための支援事業者活用促進事業(JAPANブランド育成支援等事業)
(8) 新輸出大国コンソーシアム
(9) 越境EC等利活用促進事業
(10) Japan Innovation Bridge (J-Bridge)事業
(11) 中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業
(12) 現地進出支援強化事業
(13) 中堅・中小企業の海外展開等を通じた地域活性化支援事業
(14) JICA 海外協力隊(民間連携)の活用及び帰国隊員とのマッチング
(15) JICA 中小企業・SDGs ビジネス支援事業
(16) 中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)
(17) 中堅・中小企業向け海外安全対策啓発
(18) 中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置
(19) 中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動
(20) 貿易保険へのアクセス改善
(21) 民間損保企業との協業による海外投資保険の提供 NEXI再保険スキーム)
(22) 海外展開・事業再編資金【財政投融資】
(第3節 強靱な地域経済と小規模事業者の持続的発展支援)
(15) J-GoodTech【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

3.代表的な施策についての説明

(1)海外展開のための支援事業者活用促進事業(現地ニーズ等活用促進事業)
【令和4年度当初予算:5.5 億円の内数】

【窓口】
中小企業庁 創業・新事業促進課 /JETRO
【内容】
JAPANブランド育成支援等事業とのセットになった施策。
➡JETROのプラットフォームサービスの内容と推測できる。
『海外ビジネスに直結するニーズや最新のトレンド情報を、JETROを通じて、現地のディストリビーターやマーケティング会社から直接入手し、これらを中小企業が扱いやすい形に加工・編集した上で即座に情報提供することで、優れた商品やサービスを持つ国内中小企業の効果的な海外市場開拓を後押しする。』
【関連URL】
https://www.kansai.meti.go.jp/1-1soumu/sesakusetumei/japanburanndo.pdf    https://www.jetro.go.jp/members/memberservice/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡このサービスをフル活用するには、ジェトロメンバーズ( 77,000円/年)に入って、「海外ミニ調査サービス」、「海外ブリーフィングサービス(現地)無料」、「オンライン・ブリーフィングサービス(国内から)(ジェトロ・メンバーズ等)無料 」「海外ミニ調査-リストアップ(ジェトロ・メンバーズ割引有)」などを活用すると良い。自分で調査するより遥かに効率よく、情報収集が可能となる。しかし、知らないと中々活用しにくいと思われる。

【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡海外ビジネスを支援する診断士としては、このあたりの支援サービスを実際に体験して理解する必要があるかと思われます。小職はジェトロの『新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援のパートナー』として、実際に活用し、体験していますので、この支援サービスの有効性を理解しています。支援先企業様に、ジェトロメンバーズに加入してもらう必要がありますが、その有効性を説明できるように理解する必要があります。

(2)デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業
【令和3年度補正予算:12.4 億円の内数】

【窓口】
中小企業庁 創業・新事業促進課/各都道府県を管轄する経済産業局
【内容】
『中小企業庁では優れたコンセプトや魅力的な地域資源を保有しているものの輸出販路が弱く十分に海外需要を取り込めていない中小企業者等が、コロナ禍によって変化する海外需要を取り込んでいけるよう、越境EC(電子商取引)を積極的に取り入れたブランディング、プロモーション等の取り組みを行う場合に、その経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外への販路開拓、ブランド確立を目的として、令和3年度第1次補正予算「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業」を実施します。』
【関連URL】
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/chiiki/digital-tool/r3_digital-tool.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡越境ECを始めたものの、中々順調に進まない企業にはお勧めの補助金となっている。
『デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業費補助金(デジタルツール活用型)』
補助額:上限 500万円、補助率:補助対象経費の2/3
✓ 過去に越境ECサイトを構築したが、商品の売上げが伸び悩んでいる
✓ 自社の強みをうまく表現・発信できない…
✓ 海外において他社商品との差別化を図りたい!
✓ 自社商品をもっと海外の人々に知ってもらいたい!
✓ プロモーション・ブランディングを自社でやりたいが、知り合いの専門家がいない
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡この補助金制度が活用するには、支援パートナー制度が導入されており、支援するにはこの『支援パートナー』に採択される必要がある。
以下、募集要項の説明内容。『中小企業庁が選定した海外販路開拓等のプロフェッショナル事業者である「支援パートナー」が事業実施を支援します。海外販路開拓・拡大に資する支援パートナーを自ら選択し、支援パートナーとの協議の上、事業計画を策定し、補助金申請を行ってください。』

(3)中小企業海外ビジネス人材育成支援事業(中小企業・小規模事業者人材対策事業)
【令和4年度当初予算:8.4 億円の内数】

【窓口】
ジェトロ国際ビジネス⼈材課
【内容】
(中小企業限定)中⼩企業海外ビジネス⼈材育成塾 プログラム
1.eラーニング(貿易実務オンライン講座)(必修)
2.基礎研修(必修)
3.個別添削指導(必修)
4.海外現地専門家による指導(必修)
5.仕上げ研修(必修)
6.フォローアップ研修(選択制)
『「中小企業海外ビジネス人材育成支援事業」は、平成31年から令和5年度までの事業で、海外ビジネスの進捗(商談実施、成約等)があった事業参加者の割合50%以上を目指します。中小企業・小規模事業者が自律的・能動的に海外ビジネスを進められるよう、海外ビジネスの基礎を強化する実践的なプログラムを提供し、自社の海外展開を担う社内人材を育成します。加えて、非対面・遠隔での商談形態が浸透していることを踏まえ、こうした商談の成立において重要となる、資料作成やプレゼンテーション、会議運営等の技術の習得を支援します。』
【関連URL】
https://www.jetro.go.jp/services/ikusei.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡『機械、食品、デザイン製品(日用品)の各分野、もしくはアフリカ地域について、自社で海外展開(輸出・進出)を行っている、または行う予定のある中小企業の社員と限定されているが、各コースともに10人程度の人数で、8日間の双方向型の研修を通じて海外展開の基礎力がつけられる研修。参加費(審査あり)は無料となっている。』基本的な内容からスタートすると思われるが、実質はかなりハードな研修と思われ、参加者にかなりの積極性が要求されると思われる。

【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡支援先企業で、期待される若手の担当者がいる時に、この研修参加は、担当者育成の強力なツールとなると思われる。

(4) 技術協力活用型・新興国市場開拓事業
【令和4年度当初予算:40.7 億円】
【窓口】
経済産業省 貿易経済協力局 技術・人材協力課
【内容】
『発途上国の社会課題の解決及び中堅・中小企業の海外展開を促進することを目的とする。
①製品・サービス開発等支援事業
開発途上国における社会課題の解決に繋がる製品・サービスの開発等に、開発途上国 現地の大学・研究機関・NGO・企業等と共同で取り組む日本企業を事業リスク軽減の観点から支援します。本事業は補助事業者(執行団体)を募集するもので、補助事業者は間接補助事業者が行う開発等に対する補助金の交付、並びに、間接補助事業者から提出される事業化報告に係る業務等の事業を実施するもの
②ビジネスサポーター支援事業
ビジネスサポーターが、アフリカ諸国等の開発途上国での事業展開を目指す日本企業を支援し、海外展開する企業の裾野拡大を目指す事業が補助対象となります。今年度は、特に以下のような事業を募集します。』
日本企業とアフリカ諸国等の企業の人材交流や連携を通じて、日本企業のアフリカビジネスを促進するため、現地スタートアップ企業等へのインターンなど、アフリカ諸国の社会課題やアフリカにおけるビジネスそのものを体感する機会を提供する事業
【関連URL】
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2022/k220509001.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡開発途上国のIT人材の募集、教育を経済産業省の指針の元に受託する企業向けの施策。
IT企業以外の、一般企業向けの支援内容ではない。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡IT企業を何等かの形で支援している診断士の方には、何らかの役割があるかと思われる。

(5) 安全保障貿易管理の支援
【令和4年度当初予算:18.5 億円の内数】

【窓口】
経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部
【内容】
『外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の知識普及・啓発及び管理体制構築を支援する。機微技術や貨物を保有する中小企業等を調査し、輸出管理体制の構築を促すとともに、中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会及び相談会を開催し、専門家による輸出管理体制構築支援を行う。また、輸出管理の相談窓口を設置し、専門家による無料相談対応等を通じて、輸出管理体制の構築を促す。経済産業省では、国際平和及び企業の技術流出の防止を目的として、中小企業等を対象に、アドバイザー派遣による輸出管理体制構築支援や説明会などを全て無料で実施しています。』
【関連URL】
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/compliance_programs.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡必要と思われる企業は、コンタクトすれば無料で必要資料と支援が受けられる。
・安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]
・中小企業等への支援についてアドバイザー派遣(輸出管理体制構築の支援)
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡この領域が専門でない支援者は、情報提供をすることで一つに支援になると思われる。

(6) 海外サプライチェーン多元化支援事業
【令和2年度3次補正予算:116.7 億円】
【窓口】
事務局はJETROが受託
【内容】
『新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーンの途絶によるリスクが大きい重要な製品・部素材等の日本企業による海外生産拠点の多元化や高度化に向けた設備導入の支援を実施する。日・ASEANのサプライチェーン強靱化のため、ASEAN等の地域において、サプライチェーン多元を⽬的とした設備導⼊や、設備導入のためのFS調査、実証事業等にかかる経費の一部を補助します。サプライチェーンの分断リスクを低減し、持続可能で責任ある供給体制を確立するとともに、日ASEAN経済産業協力関係を強化することを目的とします。具体的にはⅰ)海外サプライチェーン多元化等に資する設備導入補助事業 ⅱ)海外サプライチェーン多元化等に資する実証事業 ⅲ)海外サプライチェーン多元化等に資する実現可能性調査の3つの事業を実施します。』

【関連URL】
https://www.jetro.go.jp/services/supplychain/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡ASEANに既に拠点をもっている企業、若しくは持とうとしている企業が対象となる。具体的なイメージとして、コロナでマスクの入手が困難になったとき、ほとんどのマスクが中国生産であった事により、中国がマスクの輸出を止めれば、入手できなくなる事から、中国以外のASEANの拠点で製造する、例えばベトナムでのマスク生産に対する工場設立、機材導入の支援のような補助金となっている。よって過去採択されて企業は、生産品がコロナ関連の製品や、生活必需品を生産している企業が多く採択されている模様。但し、採択される難易度は高いと思われる。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡小職も2回、別な企業の応募を支援したが、採択には至らなかった。
(7) 海外展開のための支援事業者活用促進事業(JAPANブランド育成支援等事業)
【令和4年度当初予算:5.5 億円の内数】
【窓口】
中小企業庁 創業・新事業促進課 /JETRO
【内容】
『中小企業者が海外展開やそれを見据えた全国展開、新たなインバウンド需要の獲得のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングによる新規販路開拓等に取り組むとき、経費の一部を補助する。その際、海外展開においては現地のマーケットに関する知見やネットワークを持つ支援機関・支援事業者を活用しながら事業を実施することが極めて重要であることから、経済産業省が有力な支援機関・支援事業者を「支援パートナー」として選出・公表し、中小企業と支援パートナーとの出会いの場を創出する。』
【関連URL】
https://www.kansai.meti.go.jp/1-1soumu/sesakusetumei/japanburanndo.pdf
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡次のような悩みを抱えている企業むけの施策とPRされている。
✓ 海外向けの商品を製造し販売したが、商品の売上げが伸び悩んでいる…
✓ 海外展開事業に取り組みたいが、相談できる知り合いの専門家がいない…
✓ 海外向けに商品開発や自社製品の改良をしたい!
✓ 現地の展示会に出展したいが、旅費や出展費用の負担が重い…
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡この補助金制度が活用するには、支援パートナー制度が導入されており、支援するには
この『支援パートナー』に採択される必要がある。

(8) 新輸出大国コンソーシアム
【令和4年度当初予算:255.0 億円の内数】

【窓口】
JETRO
【内容】
『JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野の専門家を確保し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的に支援する。』
【関連URL】
https://www.jetro.go.jp/consortium/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡応募した後、審査がありまずはそこをクリアーする必要がある。現在までの取り組み状況を記載した資料や財務諸表の提出が必要となり、書類審査を通過した後に、審査面談が開催される。それを通過すると専属のパートナーがついて、ハンズオンでの支援が開始される。基本、1年更新となっており3年間が限度となっている。色々な海外展開の支援があるが、この制度が企業にとっては最も役に立つ支援と思われる。3月~4月にかけて募集され、支援企業数が決まっているのでタイミングも重要となる。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡小職はこのパートナーを5年継続して担当している。この専門家としての期限も1年毎となっており、毎年、応募審査・面談が行われる。中小企業診断士として、海外関係の知見が無い方で、支援先企業が海外関係の支援を必要としている時に、この制度のご紹介をされるのも一つの支援になると考えられる。

(9) 越境EC等利活用促進事業
【窓口】

JETRO
【内容】
①JAPAN MALL事業は世界60以上の連携先ECバイヤーに商品を紹介する事業です。
原則、国内納品・国内買取・円建て決済で取引が完結するため、複雑な輸出手続きが不要です。成約した商品のプロモーションを連携先とジェトロが実施します。
②Amazon.com(米国)上の法人向けサービスであるAmazonビジネス上でもJAPAN STOREのマーケティングを実施するので、法人のお客様にも訴求が可能。
③Amazonビジネスは全世界で500万社をこえる法人のお客様が利用されている法人・個人事業主向けサービスです。
④JAPAN LINKAGEは通年型オンライン展示会(BtoBのマッチングサイト)への出展を通じて、世界中のバイヤーとの商談機会を提供します。
【関連URL】
https://www.jetro.go.jp/services/japan_mall/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡北米向けに越境ECビジネスをスタートさせたい企業向けのサービス。原則、国内納品・国内買取・円建て決済で取引が完結するため、複雑な輸出手続きが不要であり、これから始めようという企業向け。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡かなり手厚いサポートがついているので、支援者としては、紹介するサービスの一つ。但し、越境ECに力をいれて本格的に進めたい企業には物足りない内容かもしれない。

(10) Japan Innovation Bridge (J-Bridge)事業
【令和4年度当初予算255.0 億円の内数】
【窓口】
JETRO
【内容】
『JETROのプラットフォーム「Japan Innovation Bridge (J-Bridge)」を通じて、デジタル・カーボンニュートラル分野等での日本企業と海外企業との協業を促進するため、アジア、イスラエル、欧米等において、ウェビナー、ピッチイベントをはじめとしたマッチング機会の提供等を継続して実施するとともに、ビジネス戦略策定支援や士業専門家による法務相談等ハンズオン支援を行う。
【関連URL】
https://www.jetro.go.jp/jdxportal/j-bridge.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡上記、該当JETROのホームページに内容、手順が詳しく記載されている。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡当施策について、詳しく調べた事が無いので、コメントは控える。

(11) 中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業
【令和4年度当初予算:2.5 億円】
【窓口】
ジェトロ/貿易経済協力局 貿易振興課
【内容】
公募概要:ジェトロでは、「中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業費補助金(中堅・中小企業の輸出を支援する民間事業者による新たなビジネスモデルを構築する事業)」を実施する間接補助事業者を、次の要領で広く募集します。
事業内容:デジタル化の潮流をとらえた中堅・中小企業の海外展開が自律的に拡大する仕組みの構築を目的として、中堅・中小企業の海外への輸出を支援する民間事業者による新たなビジネスモデルを構築するための実証的な取組に対する支援を実施します。
補助金額:1社当り最大4,000万円を目安とします。
補助率:① 繊維・織物/アパレルまたは化粧品分野に特化した取組の場合
補助対象経費の1/3
② ①以外の場合
補助対象経費の1/2 ※分野横断的に取り扱う案件を含む。 』
【関連URL】
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2022/k220509002.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡応募受付期間
受付開始:2022年4月27日(水)
受付締切:2022年5月31日(火)15時(日本時間)
と事前に準備しておく必要があり、応募しづらい。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡当施策について、詳しく調べた事が無いので、コメントは控える。

(12) 現地進出支援強化事業
【令和4年度当初予算:13.3 億円】
【窓口】
通商政策局 通商政策局総務課 通商政策局経済連携課 貿易経済協力局貿易振興課
中小企業庁創業・新事業促進課 貿易経済協力局投資促進課
【内容】
事業の目的
中小企業・小規模事業者の海外展開プロセスの進展度合いに合わせた、効果・効率的な支援策を実施し、中小企業等の現地進出支援の強化を図ることを
目的とする。
事業概要
①現地進出支援強化事業(補助:定額、1/3、1/2)
情報提供、海外展示会やオンライン商談会等を通じた販路拡大支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)等、段階に応じた支援を提供し、海外進出、また発展させるまでを一貫して支援する。
②進出先国税制等広報事業(委託)  中小企業等が多く進出している国の税制、執行実務、課税問題等について、セミナーの実施等により情報提供を行うことで、海外展開を行う中小企業等の税務に係る体制整備を支援する。
【関連URL】
https://judgit.net/projects/15589
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡ジェトロ等で展開される、相談対応、商談機会の提供、商談後のフォローアップ、
現地進出後の支援等の予算に充てられていると推測される。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡ジェトロ等で展開される各種サービスにこの予算は充当されていると思われる。具体的なサービスの特定が出来なかった。

(13) 中堅・中小企業の海外展開等を通じた地域活性化支援事業
【令和4年度当初予算:11.4億円】
【窓口】
ジェトロ
【内容】
『RCEP協定の発効や先進国地域等のワクチン接種の進展による消費の回復を捉えて、中堅・中小企業の海外展開を推進するため、以下の支援を行う。
①海外主要ECサイトにおけるジャパンモールの設置拡充、デジタルを活用した有料バイヤーの発掘、日本製品のファンコミュニティの形成などによる販路開拓支援。
②新輸出大国コンソーシアムによる海外展開計画の策定・商談等の支援。
③農林水産物・食品についてマーケティング調査や試飲会・試食会等のプロモーションの実施。
④EPA利活用促進のための情報提供・相談体制の強化。
⑤EPA関連手続きを簡素化するツール開発に係る実証支援。』
【関連URL】
複数の施策が重なっており、一つのサイトへの特定が難しい。
https://www.jetro.go.jp/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡当施策は様々なサービスへと予算が分配されていると推測されるので、
使い勝手についてのコメントは控える。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡当施策は様々なサービスへと予算が分配されていると推測されるので、ここでのコメントは控える。

(14) JICA 海外協力隊(民間連携)の活用及び帰国隊員とのマッチング
【令和4年度当初予算:1501 億円の内数】
【窓口】
独立行政法人国際協力機構(JICA)
【内容】
『国際協力機構(以下「JICA」という。)においては各企業のニーズに合わせ、社員をJICA 海外協力隊として途上国に派遣する民間連携の制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努める。また、帰国したJICA 海外協力隊の進路開拓支援の一環として、特定の途上国を熟知した人材(協力隊員)の採用を希望する企業の情報を帰国隊員に国際キャリア総合情報サイト(Partner)を通じて提供することや、これら企業と帰国隊員とが直接対話できる交流会や帰国報告会等をオンラインで開催する。』
【関連URL】
https://www.jica.go.jp/index.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡日本国内の中小企業むけの施策ではない。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡日本国内の中小企業むけの施策ではありませんのでコメントは控える。

(15) JICA 中小企業・SDGs ビジネス支援事業
【令和4年度当初予算:1501 億円の内数】
【窓口】
独立行政法人国際協力機構(JICA)
【内容】
『中小企業等が有する優れた技術や製品、アイディアを用いて、途上国が抱える課題の解決と企業の海外展開、ひいては各地の地域経済活性化も兼ねて実現することを目指すもの。JICAでは、下記3点を主な目的として、2022年度に中小企業・SDGsビジネス支援事業の一部制度改編を試行的に実施いたします。
①開発途上国におけるビジネス化の一層の促進
②制度を活用いただく企業の皆様の利便性向上(調査開始までの迅速化、手続きの簡素化等)
③これらを通じた開発インパクトへの貢献の促進』

★変更点の概略(クリックで拡大します。出典:JICA)

 

【関連URL】
https://www.jica.go.jp/priv_partner/index.html

【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡試行的制度変更に伴い、不明。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡試行的制度変更に伴い、コメント出来ず。

(16) 中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)
【令和4年度当初予算:1633 億円の内数】
【窓口】
一般財団法人日本国際協力システム (JICS)
【内容】
『途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを
通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の
向上等を図る。中小企業への海外展開支援サービスとして、 J・Partnerがある。
【関連URL】
https://www.jics.or.jp/
https://www.jics.or.jp/jigyou/j-partner/index.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡JICAやJETROの公的スキームと連動している。中々分析が難しく、コメント出来ず。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡JICAやJETROの公的スキームと連動している。中々分析が難しく、コメント出来ず。

(17) 中堅・中小企業向け海外安全対策啓発
【令和4年度当初予算:0.5 億円の内数】
【窓口】
外務省
【内容】
『海外安全に関する情報に接する機会が限られる中堅・中小企業向けに、「ゴルゴ13 の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」、「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」、インターネット広告、セミナー等を通じ、コロナ禍での安全対策を含む情報提供・啓発を行う。2022 年度においては、コロナの状況が許せば、対面式のセミナーや訓練も活用し、より実践的な安全対策を身に付けられるよう支援する。』
【関連URL】
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/network.html
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡ゴルゴ13のマンガで理解しやすい内容となっている。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡海外安全対策としての教材として、支援先企業へ紹介する価値がある。

★18~21までは、NEXI 株式会社日本貿易保険に関連する施策であり、まず貿易保険とは
何かの概略を知らないと理解が難しいと思われので、基本スキームのみ示しておきます。
【関連URL】 https://www.nexi.go.jp/service/
貿易保険とは、『日本の企業が行う海外取引(輸出・投資・融資)の輸出不能や代金回収不能をカバーする保険です。』

(クリックで拡大します。出典:NEXI)

(18) 中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置
【窓口】
株式会社日本貿易保険
【内容】
『中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が
代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じる。』
【関連URL】
https://www.nexi.go.jp/index.html

(19) 中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動
【窓口】
【内容】
中小企業による貿易保険の利用を促進するため、NEXI の中小企業向けの
ホームページを刷新。日本政策金融公庫やJETRO等が全国で主催するセミナーや
提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を
行う。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険
を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、引き続き貿易保険の一層の
理解と普及に努める。
【関連URL】
https://www.nexi.go.jp/index.html

(20) 貿易保険へのアクセス改善
【窓口】
株式会社日本貿易保険
【内容】
『中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年1 月に地方銀行11行との
提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足。提携機関は年々拡大し、
また、2016 年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、
全国110金融機関によるネットワークを構築(2022 年2月現在)。引き続き
ネットワークを通じた海外展開支援の拡大を図る。』
【関連URL】
https://www.nexi.go.jp/index.html

(21) 民間損保企業との協業による海外投資保険の提供 NEXI再保険スキーム)
【窓口】
株式会社日本貿易保険
【内容】
『中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019 年7月に
改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能
とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、
海外投資保険を提供開始。協業先である民間損保企業と共に、本スキームに関する
知名度向上のための更なる情報発信を行い、一層の利用拡大に努める。』
【関連URL】
https://www.nexi.go.jp/index.html

(22) 海外展開・事業再編資金【財政投融資】
【窓口】
日本政策金融公庫 (JFC)のお近くの支店
【内容】
『日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)を通じて、経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するための融資に加え、中小企業の海外子会社に対する直接融資の特例(クロスボーダーローン)による必要な融資を実施する。』
【関連URL】
https://www.jfc.go.jp/n/finance/keiei/kaigai_s.html
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡日本政策金融公庫 (JFC)のお近くの支店にお問い合わせされると良い。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡支援者としては、JFCがどのような支援、融資があるのかを確認されると良い。

(第3節 強靱な地域経済と小規模事業者の持続的発展支援)
(15) J-GoodTech
【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
【窓口】
独立行政法人中小企業基盤整備機構
【内容】
『中小機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援する。』
【関連URL】
https://jgoodtech.smrj.go.jp/pub/ja/
【中小企業の視線から見た場合の同施策の使い勝手について】
➡登録、利用が無料なのは、企業からは使いやすいと思われる。
【支援者の視点から見た場合の同施策を利用した支援について】
➡海外企業とのマッチングは非常に難易度が高いので、可能性の一つとして活用しては如何だろうか。

4. 調査後のコメント
(1) 予算規模について
【予算の内数】と言う表現がかなり曲者で、実際どのように使われているのかは、その道のプロでないとわからないと考えられる。例えば、(15) JICA 中小企業・SDGsビジネス支援事業は、【令和4年度当初予算:1501 億円の内数】と表現されているが、JICA関連の方にお聞きすると、その施策自体の予算規模はもっと小さいとの事。内数と言う表現としては間違っていないとの事。日本の海外関連の施策は、JICA関連が中心になっている事がわかる。

(クリックで拡大します:2022年度版中小企業白書をもとに筆者作成)

(2)施策の年度別のトレンド
2022年度に新たに協調されている施策としては、(1) 海外展開のための支援事業者活用促進事業(現地ニーズ等活用促進事業)と(10) Japan Innovation Bridge (J-Bridge)事業が強調されていると思われる。(17) 中堅・中小企業向け海外安全対策啓発も、新たに取り上げられているように見えるが、「ゴルゴ13 の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」は以前からあるので、R3年以前は、『中小企業白書の中での中小企業施策としての予算規模の記載』がされていなかった、別の形で予算措置がされていたのかと思われる。いずれにせよ、海外情報を国内にいながらどのように取得するのか、海外との技術、ビジネスのマッチングをどのように促進するのかに力を入れだしていると考えられる。
公開されている大まかな予算の数値だけでは、中々読み取れないと思われる。

(クリックで拡大します:2022年度版中小企業白書をもとに筆者作成)

(3) 中小企業の立場から見た各種施策について
今回、表示されている施策名称からのキーワード検索で具体的などのサービスに該当するかを調べていった。ジェトロのプラットフォームサービスも複数の予算措置から成り立っている事が見えてきた。中小機構も沢山の海外展開支援のサービスをしているが、どの予算措置から行われているのか、調査しきれなかった。民間企業むけのサービスとしてのフロントデスクはジェトロの各県貿易情報センターかと思われる。中小企業支援者としては、支援先企業に必要、若しくは適用可能なサービス等があるとわかった時に、ジェトロ、中小機構にどのように繋げていくか、それらの施策をどのように活用、応募支援をしていくかと言う事になる。ネット情報だけでは読み取れない事もあり、直接、ジェトロの各県貿易情報センターの窓口で確認する事も大切かと思われる。

5. 最後に
長々とした、乱筆乱文をお読み頂き有難うございます。継続してモニタリングする事が大切かと思われるので、今後とも中小企業白書が発行された時に分析をする予定です。

以 上