マーシャル諸島の概要とビジネスの現状
2022-11-05
三多摩支部国際部
安藤孝政
はじめに
2022年6月より、ご縁があり、太平洋の島国「マーシャル諸島」で仕事をしています。
本投稿では、マーシャル諸島の国の様子を簡単に紹介しつつ、本国のビジネスについての所見を述べさせていただきます。
マーシャル諸島の概要
本国は若い日本人にはあまり馴染みのない国かもしれません。首都はマジュロ。ハワイとグアムの間に位置し、第二次世界大戦で激戦地になった大洋州諸国の1つです。母国語はマーシャル語ですが、英語は首都では8割以上は通じます。国土は狭く、茨城県の霞ケ浦の湖面の面積程度です。陸地は環礁で、首都のマジュロ環礁は端から端まで車で40分程度です。本国の主な特徴は下記のとおりです。
- ほぼ毎日雨が降ります。
- 第一次世界大戦から第二次世界大戦までは日本の領土でした。
- 日本語の単語が少し通じます。「野球」、「散歩」、「電気」などはマーシャル語となっています。「ゆみこ」、「あやこ」、「みやぞえ」等、日本人的な名前の国民がいます。
- 日本と同様、被爆国であり、反核兵器の政策に力を入れています。しかも原爆よりも威力の強い水爆の被爆国です。
- (中国ではなく)台湾と外交関係を結んでいます。
- 一般的に世界にはあるが、この国に無いものは「信号、ATM、自国通貨、エスカレーター、自国テレビ局、不動産会社、医学部、電車、バス等」です。
- 寿司や刺身が食べられますが、食品の多くが輸入で、物価が高いです(例:きゅうり一本500円)。
- ゴキブリが多いです(筆者は苦手なので、私生活は非常に困惑します)。
ビジネス
食品、建築資材、燃料などの輸入は比較的安定しています。一方で、ビジネス上の政治・経済的な課題も見えてきました。以下に数点紹介いたします。
- 当国には不動産会社がなく、土地やアパートを探すのには苦労します。
- 通信会社は国営企業が一社のみです。通信障害が多く、ケーブル配線工事も遅いです。通信事業の民営化が必要です。
- 医療ビジネスは脆弱です。自国で医師を養成できない(本国には大学医学部が無い)だけでなく、病院も少ないので、薬局やクリニック等がもう少し必要です。
- 航空産業も脆弱です。国際線はユナイテッドのみ就航しており、当社の一人勝ちです。マジュロ-成田の航空券は往復35万円もします。他社の参入を促し、価格・サービス向上が必要です。
- 静脈産業(リサイクル産業)は初期段階です。国民レベルでは家具家電・機械等の使い捨てが目立ちます。潮風で金属がすぐに錆びてしまうというもの理由かもしれません。廃棄物処分場も一杯であり、リサイクルビジネスの活性化が求められます。
- 国内の運輸交通産業は首都の環礁(マジュロ)は発達しているものの、他の環礁ではほとんどありません。そのため、離島での宿泊ができないどころか、定期便も飛んでいないので、行くこと自体が困難です。離島の観光開発にも期待したいです。
ちなみに、当国には日本人が経営している企業が2社あります。商社、旅行業、建設業等の業種です。マーシャル人と結婚された方もいます。日本とマーシャル諸島は被爆国、漁業国、野球等の共通点があるので、ビジネスを通じて、両国関係がより活発になってほしいと思います。
おわりに
マーシャル諸島はビザなしでの入国が可能です。コロナでの入国制限もなくなりました。釣り、海水浴、スキューバダイビング、太平洋戦争の歴史散策等で、是非お越しください。
以上