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ベトナム即席麺事情

2025-07-04

三多摩支部国際部
菱田 州男

1.1人当たりの消費量は世界一

世界ラーメン協会のデータによると、世界全体での即席麺生産量は1230.7億食です。国ごとの生産量で見ると一位は中国の438億食、ベトナム生産量は81.4億食世界第4位です。しかし一人当たりの消費量は世界一となっており、1人が年間85.8食も即席麺を食べているそうです。因みに世界生産量5位の日本は、年間59億食を生産し、一人当たり年間48.5食食べているそうです。

今回一人当たり世界一の即席麵を食べているベトナムの即席麺事業について報告します。

表題ですが、当初「ラーメン事情」と書こうと思いましたが、買って来た即席麺を見てベトナムならではと思ったのは、「フォー」が即席フォーになっている事です。ベトナムと言えばフォーが有名なので、当たり前と言えば当たり前ですが、ベトナムでは即席フォーが多く販売されています。

私が試食したのは、エースコック製の高級即席麺です。値段は普通のフォーが3,000ドン(約18円)からあるのに対し、26,700ドン(約160円)と言う超高級品です。作り方は鍋ではなく、どんぶりに入れた麺に熱湯を掛け、蓋をして3分間待つと言う方法。レトルトの牛肉も入っています。試食してみましたが、香菜風味の大変美味しい、牛肉フォーでした。

メーカーであるエースコックは、1990年過ぎにベトナム政府の要請により商社の丸紅がエースコックに持ちかけたことが、ベトナム進出のきっかけでした。国営企業VIFON社40%、丸紅30%、エースコック30%の合弁で「VIFON-エースコック社」が設立されました。現在では、ベトナム国内に9つの工場を持ち、社員数は6,000人を超え、即席麺市場で圧倒的な存在感を放っています。主力の「ハオハオ」は、国内認知率ほぼ100%、4食に1食がハオハオという驚異的な人気を誇ります。

現在ではベトナム市場のシェアは40%との事で、ベトナムではトップブランドです。

進出している日系企業としては、カップ麺は現地産日清食品製造販売しています。値段は12,900ドン、エースコックココ一番のカップラー麺が11,900ドン。日清食品より若干安い。こちらはまだ食べていませんが、大変楽しみです。

下の写真はハノイ市内のロッテセンターのものです。数多くのメーカーの中に取り分け陳列台を占めていたのがエースコック「Hao Hao」と言うブランドです。1食4,400ドンです。

 

上記写真は11,900ドンの商品ココ一番とのコラボ商品。Coco一番はハノイにも既に出店している。味は日本のカレーヌードルに比べてかなり辛いです。具は殆ど入っていません。

2.ベトナム流通事業への日本企業の進出

イオンは2月末時点でベトナム国内で、総合スーパー12店、食品スーパーを36店出店しています。また2030年迄に総合スーパーを100店まで増やすとの事です(日経5月6日朝刊)。

ベトナム統計総局によると、ベトナムの小売売上高は前年比8%増加し4922兆ドン(推計値、27兆円、日本は163兆円、スーパー等の近代流通が8割以上)との事です。個人経営の小規模店が全体の8割内外(50万店舗)を占めるとされています。スーパーマーケット店舗数は3,000店に過ぎません(日本の10分の1)。

総合商社双日が業務用食品卸の最大手を買収(日経2023年11月22日)したとの報道もあり、拡大するベトナム市場への進出目指す日系企業は多いようです。

現在日本に来ている外国人労働者は約230万人、その内ベトナム人は最大で約57万人です。
日本で日本食の味を覚えた方々が、帰国後も日本食のファンとなって下されば日本食の可能性は大きいと感じます。

以下の写真は個人経営の小売店です。

3.最後に

大変興味深い現象を発見しました。ベトナムに進出している中小企業は社内公用語を全て日本語にしていました。一方で、ベトナムに進出している大企業は社内公用語を英語にしている点です。昨年訪問したインドネシアでは社内公用語は全てインドネシア語でした。どうもベトナム語が大変難しい事原因のようです。あと大変驚いた事にベトナムの都市名は基本的にすべて漢字名を持っている事です。ハノイを漢字で書くと「川内」、ハイフォンは「海防」だそうです。中国の影響が大変強い事を感じました。

以 上