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ナイジェリアの稲作

2025-11-03

国際経営技術総合研究所
安藤 孝政

今般、西アフリカのナイジェリアを訪問しました。今回、筆者にとってナイジェリアは初訪問であり、様々な発見がありましたので、その体験を共有させていただきます。

<ナイジェリアの概要と訪問目的>

ナイジェリアの首都はアブジャ(数十年前にラゴスから遷都)、日本との時差は8時間で、公用語は英語、面積は日本の約2.5倍(92.4万km2)です。産油国でOPECの加盟国です。人口は、約2億2,950万人(2024年)で、アフリカ大陸で最大です。労働力が多く、オイルマネーもある国で、一般的には社会経済的には恵まれているように見えます。一方で政治的、宗教的には安定していません。治安は良好ではなく、犯罪が多発している国です。
今回の渡航目的は、2国間の無償資金協力「稲種子生産体制強化計画」の実施業務として、ナイジェリア農林水産省や国立穀物試験場での稲種子生産機械・機器の仕様協議、現場確認、契約内容の確認などでした。案件概要は下記のURLを参照してください。
無償資金協力について:https://www.jica.go.jp/activities/schemes/grant_aid/index.html
稲種子生産体制強化計画について:https://www.jica.go.jp/oda/project/2260260/

 

<ナイジェリアの稲作と種子生産事情>

米はナイジェリア人の主食の1つです。トウモロコシや豆類の消費も多い国です。2014年以降アフリカでは最大の米生産国で、約1000万トンです(年間生産量では日本よりも多い)。しかし、人口も多いため、米の輸入国でもあります。単量も低く、約2t/haです。灌漑地域では2期作が可能です。インフラが未整備(特に電力)であることから、生産・流通面で課題が多いです。一日のうち停電が断続的に発生するため、発電機や燃料の確保は必須です。
国立穀物試験場を見ると、研究員は海外で博士号を保有した人も多く、英語も流暢に話すことができます。しかし、農業機械や設備は古いものが多く、予算不足で更新が進んでいないのが現状です。稲種子に関しては育種家種子⇒原原種⇒保証種子と段階を経て生産します。しかし、停電が頻発する中で育種家種子の保存は容易ではなく、ラボの設備(水分計、インキュベーター、秤、乾燥機等)も十分ではありません。日本のように純度や発芽率等を強く意識した高品質な種子は生産していない様子です。予算が配賦されない年には種子生産は行いません。そのため、種子生産農家への生産依頼も国立試験場から毎年必ず発注されるわけではありません。

 

<無償資金協力の実務>

そのような中、今回の案件では稲種子の栽培から選別、保管までを一元的に支援するため、各種機器の選定協議を行いました。具体的には、種子生産専用の田植え機、トラクター、コンバイン、播種機、乾燥機、冷蔵庫、水分計、種子選別機、インキュベーター等の価格、サイズ、機能、納期、個数、設置場所等です。無償資金協力の場合は、相手政府が施主となり、日本企業向けに機材調達の入札を行います。ナイジェリア政府は日本語や日本の入札手続き等がわかりません。そこで、コンサルタントの出番がやってきます。コンサルタントはナイジェリア政府とJICA等の日本の実施機関と連携し、日本での入札業務を代行します。この手続きが非常に煩雑で、一度経験しただけでは覚えられるものではないですが、無事に終えることができました。今回の業務では、経済協力、農業経営・機械、現地調査、英語、交渉力、入札制度の知識・理解・技術が必要です。興味のある方は挑戦してみてください。

 

<最後に>

筆者は中小企業診断士として、無償資金協力の計画・実施に関ったのは初めてのことでした。無償資金協力は海外の政府機関が施主として日本企業向けに入札等を行い、落札者や機材を決定します。そのような業務プロセスを海外のアグリビジネス分野を通じて経験をできたことは、今後の技術協力の幅を拡大できたことになります。将来的には他国の農業支援にも貢献していきたいと思っています。

以 上