米国ITベンチャー投資の新潮流
米国ITベンチャー投資の新潮流
2012年6月11日
東京都中小企業診断士協会
三多摩支部国際部
森 裕信
先月にはフェイスブックの株式上場という話題もありましたので、米国ITベンチャー投資の最近の動向について触れたいと思います。
10年前にITバブルが崩壊して依頼、米国ITベンチャー投資の動向には大きな変化がありました。株式公開に代り大手企業による買収という投資回収の手段が一般化したこと、ソフト、ハードの製品を開発、販売する企業に代ってインターネットを用いたサービスを提供する企業が新規ベンチャーの主力となったことなどです。
もうひとつの変化が、シード型と呼ばれる、ベンチャー創業の初期段階で少額の投資を行うベンチャーキャピタルが台頭してきたことと思われます。
米国で有名なシード型ベンチャーキャピタルの例としては、Y-Combinator, TechStars, 500 Startupsなどがあります。これらのベンチャーキャピタルの特色は、
① 創業時、創業初期段階の企業に対して、少額(数万ドル程度)の投資を行う。
② 多数の企業に対して投資を行う。投資の意志決定も速い
③ 投資先に対して、数ヶ月~1年程度の短期間にその投資先が大手ベンチャーキャピタルからより大規模な資金調達ができるようなレベルに行けるような各種支援を行う。
といったところです。
まだビジネスプランもはっきりしていない初期段階で投資の可否を判断する基準はどこにあるのかという素朴な疑問がわきますが、Y-Combinatorのホームページ(ycombinator.com/)を読みますとその一端をうかがい知ることができます。
応募時に答える質問内容ですが、ビジネスプランの数字など一切求められていません。主な質問項目は、ビジネスの中身についてのシンプルですが本質的な質問、例えば「何をつくるつもりですか」「それでどうやって収益をあげますか」「それが世の中にまだないために人々はどんな不便を強いられていますか」等があります。わたしたちが仕事で新規事業を考えたり新規事業を支援したりするときにも参考になりますね。
ところがこのY-Combinator、最近では「ビジネスアイデアがなくても応募できるようにする」という発表すらしています。(http://ycombinator.com/noidea.html)「今まで創業した会社の中でも、途中でビジネスアイデアが完全に変わって成功した会社が多数ある」ことを踏まえてだそうです。
ではその場合の選定基準は?という素朴な疑問がわきますが、「創業メンバーがどれだけ能力が高いかを2行で述べてください」「今までにどんなすばらしいソフトウエアを書きましたか?」「創業メンバーに将来の予定(大学院進学など)はありますか?」等、創業メンバーの「人」を知るための数々の質問があることから、おそらくこのような視点で見ていると思われます。
ycombinator.com/ には他にも創業や創業支援における興味深い示唆が色々かかれておりおすすめです。
以 上




